チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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ばあちゃんの指輪

2020年09月10日 | お母さん
ホラ!あのばあちゃんの指輪だげんちょもな。わだし(母)も、あんだ(私)もいなぐなっちまったら、指輪のごどはだあれもわがらなぐなっちまう。
ほんだがら、今のうぢにこういうどごろで処分しちまったほうがいいど思うんだげんちょも。
と、母は新聞の折り込み広告(宝飾品やブランド品の買取り)を私に見せた。
う~む、指輪は祖母の形見には違いないけれど、私たちには祖母のように思い入れがある品ではない(それに私の小指にしか入んないんだよねえ)ので、処分してしまうのも一理あるなと思い、広告のお店で見てもらうことにした。

まったぐ、あのおせきちゃんときたら困ったばあちゃんだった。
お寺に御詠歌の練習に行ったどぎな。おらいのばあちゃんがあの指輪してだもんだがら、お寺の奥さんに「あら、おばあちゃんステキな指輪してるね~」つって、言わっちゃんだと。
ほうしたら、おせきちゃん(祖母の御詠歌仲間)が、ばあちゃんに指輪を譲ってくれって、しつこく言うんだと。
おらいのばあちゃんは「なんぼ譲ってくれって言わっちも、これは仙台の姉の形見だがら、譲るわげにはいがねぞん」って、断ったんだと。
それがら、老人クラブで温泉に行くどぎな。ばあちゃんに「これでみんなでお茶飲むどぎ、まんじゅうでも買わんしょ」って、1万円渡したのな。
わだしはいっつも、ばあちゃんが温泉に行く時は小遣いやってだのな。
温泉に行ってがら、ばあちゃんな、仲間の前で何気なぐ言っちまったんだと。
「おら、母ちゃん(嫁のこと)に1万円小遣いもらってきた」って。
ほうしたら、おせきちゃんがな、
「おらも、お母ちゃんに2万円もらってきた」って言うんだと。
ほんで、同じ御詠歌仲間のサダちゃんの家が店屋だべ。おせきちゃんの嫁さまが買い物に来たどぎ、聞いでみたんだと。
「あんだ、たいしたもんだした。この前、温泉に行った時、おせきちゃんに2万円小遣いくっちゃんだって?」
その嫁さまが言うにはな、
「まだ、おらいのばあちゃんはトンでもねえ嘘ついで。おらいはやっとやっと生活してんのに、ばあちゃんの温泉旅行にくれでやる小遣いなんて何処にもねえぞい」だとさ。
まったぐ、おせきちゃんときたら・・・

まあまあ、ばあちゃんの指輪にまつわる思い出話から、見栄張るおばあちゃんのお話しになりましたねえ。
すぐバレるようなうそをついても、見栄を張りたいおせきちゃん。
かわいいじゃないですか。信用は無くすだろうけどね。

そうそう、祖母の指輪は確かに金でした。15,000円になりました~


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