プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

●世界遺産の功罪

2005-07-18 09:56:58 | 日記・エッセイ・コラム
 知床が世界自然遺産に指定されたニュースは、関係者の喜びと同時に、数多くの問題を抱え込んでしまった。先に認定された「白神山地」や「熊野古道」の例にみるように、観光客が押し寄せることによるゴミと自然破壊問題は切実だ。世界遺産というブランド名による地元への経済効果は確かに魅力だろうが、本来の自然保護という観点からみると手放しで喜べない。熊野古道では、山林の地権者による落書き問題まで発生した。林業で生計をたてている地元住民にとっては死活問題だけに、自治体の後手に回った対策が悔やまれる。知床とて例外ではない。

 世界遺産に指定される前に見ておこうと6月末に知床半島を訪れたが、居酒屋のご主人に、「今日出した魚は食べられんようになるかも知れんで」と言われた。トドの生息する海域では、漁が制限されることになるからだ。長い間、人間と動物が共生してきたバランスを世界遺産指定により崩すと言うのはユネスコ憲章の意とするところではあるまい。

 知床半島は、現在、マイカー規制をしており知床五湖までしか乗り入れ出来ない。そこから知床大橋まで、夏の期間だけ、シャトルバスが出ている。少なくとも、これ以上開発して欲しくない気持ちで一杯だ。ウトロ港から出ている観光船で半島巡りを楽しむだけに留めておいて欲しい。欲をいうなら、気球を飛ばして空から知床半島を見渡せるようになれば最高だが。