旧長州藩主毛利氏の庭園は、25,000坪の近代日本庭園で、国指定名勝となっており、同敷地内にある毛利邸の一部にあたる博物館には、約20,000点におよぶ文化財(うち国宝4点7件)が所蔵されている。
庭園自体は、兼六園を見慣れた目には平凡に映ったが、多々良山を借景に建つ10棟60室から成る毛利邸は、往時の権力の大きさを彷彿させるスケールを誇る。
博物館の展示物で、私を最もひきつけたのは、「三本の矢の教え」の元として知られる毛利元就自筆の「三子教訓状」。長文・達筆だが、有難いことに現代訳が添えてあった。
安倍総理の政策に引用される「三本の矢」は、造語・流行語の類いだが、「長男に絶対服従せよ」との教えを「長男=権力」と置き換えると、総理の強気の姿勢に表われている気がした。