箱根のアジサイ祭りは、毎年、ライトアップしたアジサイ電車が好評だが、今年は、節電のため、中止になった。箱根湯本から強羅まで8.9㎞の区間は、標高差445mで、平均50パーミルの急勾配だ。登山電車は3度のスイッチバックを繰り返しながら進むので、沿線のアジサイをゆっくり観賞出来る「あじさい号」がお勧めだ。、
年間2,000万人の観光客で賑わう箱根ですら、大震災後、外国人客が落ち込んだと言うが、登山電車やケーブルカーのこみ具合を見る限り、その影響は微々たるものに思えた。いつも、混雑を避けて時期を選ぶようにしている私には、金沢とは別世界のような息苦しさを覚えた。
また、群生しているよりも、細い路地などにひっそりと咲いているアジサイの方が好みなので、「まー、きれい!」と歓声をあげる周囲の声に違和感を感じた。大船時代の感性で詠めば、「さりげなく 傘かしげあう 紫陽花の径」。今の感性で詠むと、「箱根路は 肩引き知らぬ 異国人」となる。
子供の頃、人とすれ違う時には、ぶつからないように肩を引くように、また、雨の日には傘を斜めに傾けるようにと教えられた。雪かきをする時には、隣の家との境界より50㎝から1m先までとも。最近、とみに「江戸しぐさ 昭和は遠く なりにけり」と、感じることが多くなった。