シネマ見どころ

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「散り椿」2018年、日本

2018年10月24日 | 映画の感想・批評
享保年間を舞台に、架空の扇野藩の元藩士、瓜生新兵衛(岡田准一)が京都で病気の妻(麻生久美子)と二人でひっそりと暮らしている。8年前に藩の不正を訴えたが受け入れられずに藩を離れたが、いまだに刺客に追われている。
冒頭の雪の中での立ち回りがとても美しく、引き込まれる。
妻の篠に「藩に戻って、剣友だった采女(西島秀俊)を助けてほしい」と遺言で託され、藩に戻った新兵衛は妻の実家に身を寄せるが、義弟の藤吾はいささかめいわく気味。義妹の里美(黒木華)は新兵衛をつつましく世話をする。
8年前の不正疑惑とは、・・・・
妻とかつての婚約者の采女との関係は・・・・・・
義妹の里美の想いは・・・・・

本年初の久しぶりの時代劇。昨年の「関ケ原」以来か?あの関ケ原は期待外れだっただけに、岡田准一君、大丈夫かなあ・・・・・とあまり期待せずに、彼の大ファンである息子のおつきあいで鑑賞。
バタ臭い顔なので、「天地明察」を見るまでは時代劇なんか無理じゃないのと思っていたが、「蜩の記」辺りから、どんどんその存在感がぴったり来ている。前作の「関ケ原」は役所広司がもって行ってしまった感があったけど。
「たそがれ清兵衛」の真田広之が最近見られなくなったあとの「これぞ侍!」役を岡田准一が担ってきているのかも。
黒木華は時代劇には欠かせない存在。所作の美しさと、「小芋に目鼻」と言ったら叱られそうだけれど、いかにも古風な日本人の顔と言える。今年は黒木華の当たり年か。「日日是好日」、「ビブリア古書堂の事件手帖」も楽しみである。
麻生久美子も時代劇にはぴったり。出演シーンは少ないが、色っぽかった。黒木華と姉妹役というのは納得できる。
典型的な強欲で悪者の家老を奥田瑛二がはまり役。

CGもセットも使わない、オールロケだという四季折々の風景はやはり監督自身が名カメラマンだけあって、かなりのこだわりぶり
岡田准一の殺陣が美しい。これはやはり映画館で見る値打ちはあった。
でも、ストーリーは今一つ説得力に欠ける内容に思えた。ナレーション(豊川悦司)を聴き落とすとしんどい。悪役が典型的過ぎたか。
後半の立ち回りシーンは見ごたえあったものの、あっさり弓に倒れてしまう剣豪には、あれれ・・・・・
原作を読んでないので、観方が甘いのかな。物語よりも映像を楽しむ作品と言える。
(アロママ)

監督:木村大作
脚本:小泉堯史
原作:葉室麟
撮影:木村大作
主演:岡田准一、西島秀俊、黒木華、麻生久美子ほか