ディズニーの名作アニメを、俳優でもありファンも多いケネス・ブラナー監督が実写化。はたしてどのように進化したか興味津々。興行的には大成功で、「アナと雪の女王」の続編「エルザのサプライズ」(短編)の同時上映も功を奏し、この春1番のヒットとなっている。
ディズニー・ラブストーリーの原点にして頂点、魔法の力によって生み出されたガラスの靴にカボチャの馬車、美しいブルーの衣装。誰もが知っているシンデレラのロマンティックなイメージを大切にしながら、自ら勇気を出して行動することによって奇跡を巻き起こす新しいヒロイン像が見事に開花。
シンデレラ(エラ)を演じるリリー・ジェームズは、役作りにおいて、ガンジーのような強い精神力を持った人たちについて書かれた本をたくさん読んだそうだが、どんな残酷な状況にあっても善良さや純粋さを忘れない、しっかり者のシンデレラになるには役に立ったのかも。対する王子役のリチャード・マッデンはアニメの世界からそのまま出てきたような優男。ダンスのシーンでもリードしているのはシンデレラの方?!こういうところにも時代が感じられて面白い。この若き二人に、冷酷でずる賢く意地悪な継母にケイト・ブランシェット、舞踏会に行く夢をかなえてくれた陽気な魔法使いフェアリー・ゴッドマザーにヘレナ・ボナム=カーターという実力派女優が脇を固めている。
絢爛豪華な舞台や衣装と相まって、全編色彩豊かで格調高い作品に仕上げたのはさすがブラナー監督。それにイギリス出身の出演者が多いせいか、英語がとても聞き取りやすくてうれしくなった。上映館が少ないのは残念だが、中高生や日本語吹替版に慣れてしまった方たちにもぜひ字幕版で見ることをお勧めしたい。エンドロールでは懐かしいあの名曲が流れてきて、思わず口ずさみながら席を立てる。これはまさに“シンデレラ気分”!!
(HIRO)
原題:CINDERELLA
監督:ケナス・ブラナー
脚本:クリス・ワイツ
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
出演:リリー・ジェームズケイト・ブランシェット、ヘレナ・ボナム=カーター、リチャード・マッデン、デレク・ジャコビ
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