「4回泣ける」と話題になり、本屋大賞にノミネートされた小説「コーヒーが冷めないうちに」の映画化である。
どこにでもある喫茶店が舞台。その喫茶店を中心に4つのエピソードがオムニバス形式で繰り広げられる。ちょっと異色なのは、そのお店のある席に座ると、自分の希望する時間に戻れるという都市伝説がある。ただ、決して都市伝説ではなく、決められた方法を守れば、本当に、過去に戻れるのである。但し、コーヒーが冷めないうちに飲み干さないと、現在に戻れないといった、いくつかの条件がある。
悩んだあげくに席に座る人もいれば、軽い気持ちで座る人もいる。過去に戻りたい事情はそれぞれだが、どれも、過去に戻るシーンは、大きな水槽?もしくは海?の中に落ちる映像で統一され、母親の胎内に戻るようにも印象付けられ、抽象的表現で映画らしく感じた。時空を超えて、物語が進行するが、4つの話が整理されていて、とても分かり易い。流行りのCG満載の映像ではなく、オーソドックスだけれども、映像に深みを感じられた。セリフも印象的に散りばめられ、何度か発せられた「起こってしまった事実は変えられないが、人の気持ちは変えられる」は、作者の意図が深く表されていると感じた。中でも、薬師丸ひろ子と松重豊とのエピソードは、セリフ、演技の間合いはもちろんのこと、新聞紙上等でもよく目にする話題も取り上げており、このエピソードだけでも観る価値があると思う。1本の映画にも出来るだけの重みを感じた。
正直申し上げて、告知等も観た記憶も無く、観る前の期待度は低かったが、その反面、期待以上の内容で、夫婦愛、親子愛、兄弟愛等、人の暖かさを改めて感じることの出来る、これぞ“ハートウォーミング”な映画だった。
残念だったのは、原作も未読で、事前情報も無い状態の為かと思われるが、最初の波溜のエピソードは、波溜の過剰な演技とストーリーのチープさに引いてしまい、全く“泣く”には至らなかった。結果、私は、冒頭の「4回泣ける」ではなく、「3回泣ける」だった。
(kenya)
監督:塚原あゆ子
脚本:奥寺佐渡子
原作:川口俊和「コーヒーが冷めないうちに」
撮影:笠松則通
出演:有村架純、伊藤健太郎、波瑠、林遣都、深水元基、松本若菜、薬師丸ひろ子、吉田洋、松重豊、石田ゆり子他
どこにでもある喫茶店が舞台。その喫茶店を中心に4つのエピソードがオムニバス形式で繰り広げられる。ちょっと異色なのは、そのお店のある席に座ると、自分の希望する時間に戻れるという都市伝説がある。ただ、決して都市伝説ではなく、決められた方法を守れば、本当に、過去に戻れるのである。但し、コーヒーが冷めないうちに飲み干さないと、現在に戻れないといった、いくつかの条件がある。
悩んだあげくに席に座る人もいれば、軽い気持ちで座る人もいる。過去に戻りたい事情はそれぞれだが、どれも、過去に戻るシーンは、大きな水槽?もしくは海?の中に落ちる映像で統一され、母親の胎内に戻るようにも印象付けられ、抽象的表現で映画らしく感じた。時空を超えて、物語が進行するが、4つの話が整理されていて、とても分かり易い。流行りのCG満載の映像ではなく、オーソドックスだけれども、映像に深みを感じられた。セリフも印象的に散りばめられ、何度か発せられた「起こってしまった事実は変えられないが、人の気持ちは変えられる」は、作者の意図が深く表されていると感じた。中でも、薬師丸ひろ子と松重豊とのエピソードは、セリフ、演技の間合いはもちろんのこと、新聞紙上等でもよく目にする話題も取り上げており、このエピソードだけでも観る価値があると思う。1本の映画にも出来るだけの重みを感じた。
正直申し上げて、告知等も観た記憶も無く、観る前の期待度は低かったが、その反面、期待以上の内容で、夫婦愛、親子愛、兄弟愛等、人の暖かさを改めて感じることの出来る、これぞ“ハートウォーミング”な映画だった。
残念だったのは、原作も未読で、事前情報も無い状態の為かと思われるが、最初の波溜のエピソードは、波溜の過剰な演技とストーリーのチープさに引いてしまい、全く“泣く”には至らなかった。結果、私は、冒頭の「4回泣ける」ではなく、「3回泣ける」だった。
(kenya)
監督:塚原あゆ子
脚本:奥寺佐渡子
原作:川口俊和「コーヒーが冷めないうちに」
撮影:笠松則通
出演:有村架純、伊藤健太郎、波瑠、林遣都、深水元基、松本若菜、薬師丸ひろ子、吉田洋、松重豊、石田ゆり子他