イギリス製のミュージカル映画である。冒頭はいきなりアフガニスタンの戦闘場面で、デイヴィーと幼なじみのアリー、ロニーは同じ部隊に所属するが、運悪くロニーが重傷を負い、ともに兵役を終えて故郷エディンバラ郊外のリースへ帰還する。スコットランドの町だ。周知のようにスコットランドでは来月にイギリスから独立するかどうかをめぐって住民投票が行われる。要するに歴史も文化もイングランドとは異なる地域である。
デイヴィーの帰りを待ち受けるのは銀婚式を間近に控える両親と看護師をしている妹のリズだ。リズはアリーとつきあっていて、デイヴィーはリズの紹介で看護師のイヴォンヌと出会う。25年連れ添った仲睦まじい両親、二組の若いカップル・・・陽気な歌曲を散りばめて地方都市のありきたりの家族のきわめて順調で安穏とした日常を描く。作劇の基本たる起承転結がこれほど明快なドラマも珍しい。
それで、起承転結の転がなかなかドラスティックだ。両親を含めた三つのカップルがそれぞれ別の理由で見る見るうちに崩壊して行くという展開となる。まあ言ってみれば、行き違いの悲劇というか、ある意味、リアリズムでは無い劇的(人工的)な流れを作るのだ。その理由は、何十年もむかしのただ一度の不倫が発覚したとか、地方の病院の看護師では飽き足りなくなってアメリカの大病院でもっと高度の医療資格を取ろうと故郷を出る決意を固めるとか、イングランドの実家の母を見舞うので「同行して」と願う彼女にスコットランド男の意地を見せて「行かない」とついいってしまったとか、かなりシリアスだったり本人が考えるほど深刻でなかったりするわけだ。人生とはそういうものである。
もちろん、この映画はミュージカルだから、絡まった糸が解きほぐされて、これまた非現実的にそれぞれの人生がハッピーに終わることになっているのでご安心あれ。因みに監督はイングランド出身だそうである。 (ken)
原題:Sunshine on Leith
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:スティーヴン・グリーンホーン
撮影:ジョージ・リッチモンド
出演:アントニア・トーマス、ピーター・ミュラン、ジェーソン・フレミング、ジョージ・マッケイ、フレイア・メイヴァー、ジェーン・ホロックス
デイヴィーの帰りを待ち受けるのは銀婚式を間近に控える両親と看護師をしている妹のリズだ。リズはアリーとつきあっていて、デイヴィーはリズの紹介で看護師のイヴォンヌと出会う。25年連れ添った仲睦まじい両親、二組の若いカップル・・・陽気な歌曲を散りばめて地方都市のありきたりの家族のきわめて順調で安穏とした日常を描く。作劇の基本たる起承転結がこれほど明快なドラマも珍しい。
それで、起承転結の転がなかなかドラスティックだ。両親を含めた三つのカップルがそれぞれ別の理由で見る見るうちに崩壊して行くという展開となる。まあ言ってみれば、行き違いの悲劇というか、ある意味、リアリズムでは無い劇的(人工的)な流れを作るのだ。その理由は、何十年もむかしのただ一度の不倫が発覚したとか、地方の病院の看護師では飽き足りなくなってアメリカの大病院でもっと高度の医療資格を取ろうと故郷を出る決意を固めるとか、イングランドの実家の母を見舞うので「同行して」と願う彼女にスコットランド男の意地を見せて「行かない」とついいってしまったとか、かなりシリアスだったり本人が考えるほど深刻でなかったりするわけだ。人生とはそういうものである。
もちろん、この映画はミュージカルだから、絡まった糸が解きほぐされて、これまた非現実的にそれぞれの人生がハッピーに終わることになっているのでご安心あれ。因みに監督はイングランド出身だそうである。 (ken)
原題:Sunshine on Leith
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:スティーヴン・グリーンホーン
撮影:ジョージ・リッチモンド
出演:アントニア・トーマス、ピーター・ミュラン、ジェーソン・フレミング、ジョージ・マッケイ、フレイア・メイヴァー、ジェーン・ホロックス