ケン・ローチ監督の作品が好きで、これまでいろいろと観てきました。いまだに階級意識が残るイギリスにあって、ローチ監督の映画の登場人物はたいてい労働者階級に属する人たちで、厳しい現実の中でもがきながら生きる人びとを描いてきた。今回も育った環境のせいでケンカを繰り返す青年を主人公に物語は展開するが、いつもとちょっと違いラストがとてもハートフルだ。
恋人の出産が間近だというのにケンカのトラブルを起こしたロビーは、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動を命じられる。そこで出会った指導者のハリーは、赤ん坊の誕生を上等なウィスキーで祝ってくれ、恋人と息子との生活を手放さないよう諭す。ハリーはロビーと3人の仲間をウィスキー蒸留所に連れて行ってくれるが、それがきっかけでロビーの眠っていた“テイスティング”の才能が目覚め始める。ある日、100万ポンドもする樽入りのウィスキーのオークションの話を耳にしたロビーは、仲間たちと大勝負に出る。
恋人と息子と父親のようなハリーの存在が、荒んでいたロビーを変えてくれた。“天使の分け前”とは、ウィスキーなどが樽の中で醸成される間に年2%ほど蒸発して失われる分のことを言うが、なんてウィットに富んで心が優しくなる言葉だろう。映画のラストでロビーはハリーに素敵な“天使の分け前”をプレゼントするが、それを手にしたハリーの笑顔は幸せそのものだ。
ウィスキー蒸留所やエジンバラ、グラスゴー、その他のスコットランドの美しい景色が楽しめる。男性はキルトを着用するとき下着を穿かないって本当だったのだなど、笑えるシーンもある。ただ、100万ポンドのウィスキーの香りと味をスクリーンの外では味わえないのが残念。(久)
原題:THE ANGEL'S SHARE
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショー、ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン
恋人の出産が間近だというのにケンカのトラブルを起こしたロビーは、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動を命じられる。そこで出会った指導者のハリーは、赤ん坊の誕生を上等なウィスキーで祝ってくれ、恋人と息子との生活を手放さないよう諭す。ハリーはロビーと3人の仲間をウィスキー蒸留所に連れて行ってくれるが、それがきっかけでロビーの眠っていた“テイスティング”の才能が目覚め始める。ある日、100万ポンドもする樽入りのウィスキーのオークションの話を耳にしたロビーは、仲間たちと大勝負に出る。
恋人と息子と父親のようなハリーの存在が、荒んでいたロビーを変えてくれた。“天使の分け前”とは、ウィスキーなどが樽の中で醸成される間に年2%ほど蒸発して失われる分のことを言うが、なんてウィットに富んで心が優しくなる言葉だろう。映画のラストでロビーはハリーに素敵な“天使の分け前”をプレゼントするが、それを手にしたハリーの笑顔は幸せそのものだ。
ウィスキー蒸留所やエジンバラ、グラスゴー、その他のスコットランドの美しい景色が楽しめる。男性はキルトを着用するとき下着を穿かないって本当だったのだなど、笑えるシーンもある。ただ、100万ポンドのウィスキーの香りと味をスクリーンの外では味わえないのが残念。(久)
原題:THE ANGEL'S SHARE
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショー、ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン