新型コロナウィルス感染が再び拡がりつつある状況なので、朝一番の上映を狙って行った。残念ながら狙いが当たり、お客さんは私含めて6人だけ。本編前の予告中に、映画館は換気を十分に行っていることを案内。少し安心。
あまり期待せずに観たが、意外(失礼!)と面白かった。全編を通して、緊張感があり、テンポ良く観られた。物語は、主人公の黒人女性警察官が、身内の不正に気付いてしまい、唯一の味方と思った同僚にも裏切られ、追い詰められていくが、主人公の純粋さに心打たれた市民に助けられ、不正を暴く大博打を仕掛けるという話。舞台となった警察、黒人、身内の不正、事情を抱える主人公等々、物語のはめ方はよく観るパターンだが、今回は、「Black Lives Matter」と重ねてしまった。事件の発端は違う理由かもしれないが、黒人がまだまだ差別を受けているということでは同じように感じる。内部で不正を働いているのは白人で、黒人は虐げられて、貧しい生活を強いられているという図式は存在する。更に、本作では、同じ黒人でも、警察(=Blue)への反発もかなり強い。警察=政府と考えると、今年、行われる大統領選挙の共和党と民主党という図式にも繋がるのではないかと思う。予定通り実施されるかどうか分からない感じになってきているが、今後のアメリカを、いえ、世界を左右する年になるかもしれない。それとは関係無く、コロナは勢力を増していく・・・。どうなっていくのやら。不安な毎日である。
それと、少し前に観た「ドント・プリーズ」に街並みがそっくりなのが、ずっと気になった。今回は台風の影響を受けたということだが、アメリカの中では、治安が悪く、環境も良くないのは、見慣れた風景なのだろうか。一方で、ナオミ・ハリスは作品毎に全然違う印象で素晴らしい。彼女が自らの怪我を自らの手で麻酔も無く治療するシーンに、「女ランボーか!」と突っ込みを入れてしまったが・・・。
最後に、配給はイオンだったので、上映はイオンだけだったのか。邦題を工夫し、「今のアメリカが観られる!」という町山智弘のようなキャッチコピーを付ければ、超メジャー級の主役ではないが、もっと、お客さんが入るように思った。惜しい!
(kenya)
原題:Black and Blue
監督:デオン・テイラー
脚本:ピーター・A・ダウリング
撮影:ダンテ・スピノッティ
出演:ナオミ・ハリス、タイリース・ギブソン、フランク・グリロ、マイク・コルター他