2016年にテレビ朝日の単発ドラマとして放送され、2018年4月から「土曜ナイトドラマ」枠で連続ドラマ化。SNSで話題となりTwitter の世界トレンド1位を獲得し、第97回「ザテレビジョンドラマアカデミー賞」では6冠を受賞した。テレビタイトルの「おっさんずラブ」は2018年「新語・流行語大賞」トップ10に選出された。そんな社会現象を起こした話題作の劇場版である。
新聞のラテ欄の紹介は見ていたもののテレビ放送は一度も見ていなかったので、映画の案内チラシで登場人物の人間関係や連ドラの簡単なあらすじを読んで、ざっと予習してから劇場版「おっさんずラブ」を初鑑賞した。特に複雑というわけではないが、すでにテレビ放送でキャラクターや人物相関図ができ上がっているので参考になる。主人公の春田は、尊敬する上司の黒澤とエリート後輩の牧から愛を告白され、黒澤との結婚式から逃げ出して牧にプロポーズしたところで、テレビドラマは終わっている。
少しずつだがLGBTという言葉が定着しつつある一方で、同性婚は非生産的という人たちもまだまだ多い日本という国で、「おっさんずラブ」が受け入れられたのは喜ばしいことだ。深刻な社会派ドラマではなく、コメディタッチに仕上がっていることも良かったのだろう。
劇中で春田と牧が結婚に対するそれぞれの思いを語り合うシーンがある。
「よ〜く考えたら、男同士って結婚できないよね。それに僕、子どもが好きだし…」という春田。確かに日本では同性婚は認められていない。結婚は両性の合意に基づくと憲法にある。でも両性を1個人の性と相手のもう1個人の性と考えてはいけないのだろうか。それが男と女の場合もあれば、男と男、女と女の場合があってもいいのでは…。
子どもが欲しくても出来ないご夫婦もいらっしゃる。地球の人口は現在76億人を超え、5年後には80億人を超えると予測されている。世界には紛争や災害などで親を亡くした子どもたちが大勢いる。その子どもたちをサポートする機構だってある。血が繋がっていなくてもいいのでは…。
LGBTに対する意識変革が一番遅れているであろう世の中の「おっさん」たち、恐れずに劇場に足を運んではいかがだろうか。もしかしたらほんの少し価値観が変わるかも。現実には春田たちが働く天空不動産のように、彼らの存在を否定しない企業がそんなに多くあるとは思えない。春田たちのような存在が、仕事も恋愛も全力投球できる社会をつくる一助になってほしい映画だ。(久)
監督:瑠東東一郎
脚本:徳尾浩司
撮影:高野学
出演:田中圭、林遣都、吉田鋼太郎、沢村一樹、志尊淳、眞島秀和、大塚寧々、内田理央、金子大地、伊藤修子、児嶋一哉
新聞のラテ欄の紹介は見ていたもののテレビ放送は一度も見ていなかったので、映画の案内チラシで登場人物の人間関係や連ドラの簡単なあらすじを読んで、ざっと予習してから劇場版「おっさんずラブ」を初鑑賞した。特に複雑というわけではないが、すでにテレビ放送でキャラクターや人物相関図ができ上がっているので参考になる。主人公の春田は、尊敬する上司の黒澤とエリート後輩の牧から愛を告白され、黒澤との結婚式から逃げ出して牧にプロポーズしたところで、テレビドラマは終わっている。
少しずつだがLGBTという言葉が定着しつつある一方で、同性婚は非生産的という人たちもまだまだ多い日本という国で、「おっさんずラブ」が受け入れられたのは喜ばしいことだ。深刻な社会派ドラマではなく、コメディタッチに仕上がっていることも良かったのだろう。
劇中で春田と牧が結婚に対するそれぞれの思いを語り合うシーンがある。
「よ〜く考えたら、男同士って結婚できないよね。それに僕、子どもが好きだし…」という春田。確かに日本では同性婚は認められていない。結婚は両性の合意に基づくと憲法にある。でも両性を1個人の性と相手のもう1個人の性と考えてはいけないのだろうか。それが男と女の場合もあれば、男と男、女と女の場合があってもいいのでは…。
子どもが欲しくても出来ないご夫婦もいらっしゃる。地球の人口は現在76億人を超え、5年後には80億人を超えると予測されている。世界には紛争や災害などで親を亡くした子どもたちが大勢いる。その子どもたちをサポートする機構だってある。血が繋がっていなくてもいいのでは…。
LGBTに対する意識変革が一番遅れているであろう世の中の「おっさん」たち、恐れずに劇場に足を運んではいかがだろうか。もしかしたらほんの少し価値観が変わるかも。現実には春田たちが働く天空不動産のように、彼らの存在を否定しない企業がそんなに多くあるとは思えない。春田たちのような存在が、仕事も恋愛も全力投球できる社会をつくる一助になってほしい映画だ。(久)
監督:瑠東東一郎
脚本:徳尾浩司
撮影:高野学
出演:田中圭、林遣都、吉田鋼太郎、沢村一樹、志尊淳、眞島秀和、大塚寧々、内田理央、金子大地、伊藤修子、児嶋一哉