今から30年前の昨日となる1994年12月10日、メキシコで行われた試合結果です。
IBFウェルター級戦:
王者フェリックス トリニダード(プエルトリコ)TKO9回2分41秒 挑戦者オバ カー(米)
*カリブの天才児トリニダードが、25戦目にして初めてメキシコのリングに立ちました。24戦全勝(22KO)という素晴らしい戦績を持つ21歳の若きチャンピオンが迎えたのは、こちらも32戦全勝(20KO)という王者に負けないほどの素晴らしい戦績を誇る22歳のカー。トリニダードが世界の檜舞台に立つ前から、世界王者候補生の一人として知られていた好選手です。
(トリニダードに挑んだ世界王者候補生カー)/ Photo: BoxRec
若き全勝選手同士の対決は、両者がそれぞれの持ち味を出す好試合となりました。比較的静かな初回を終え、2回早々に試合がようやく動き出します。その回開始13秒、カーが放った左フックからの見事な右ストレートでトリニダードが脆くもダウン。打たれ脆いトリニダードはコテンと言った形で尻もちをつくことになりました。しかしそれがトリニダードの反撃の狼煙となり、カーはダウンを奪った何倍以上ものダメージを負わされる事になりました。
(リング中央で対峙するトリニダード(左)とカー)/ Photo: Facebook
3回、4回と回を重なるごとにエンジンの動きが円滑になっていったトリニダード。カーにプレッシャーをどんどんとかけ、4回には右ショートでカーの膝を大きく揺らします。続く5回も同じ展開が続きますが、トリニダードのスムーズなフットワークとバランスの良さには目を奪われるばかりです。
トリニダードのワンサイドマッチになってきたこの試合。7回にはトリニダードのパンチが次々に当たっていきます。カーも必死で抵抗しますが、マウスピースを飛ばされるなど、時間が経つにつれ苦境に追い込まれていくことに。
そして8回、試合は終止符を迎える事になりました。この回の2分過ぎ、トリニダードは右ショートでダウンを奪い返します。そのダウンは一発というより、それまでのダメージの蓄積のためのもの。試合再開後、同じパンチで2度目のダウンを追加したトリニダードはその後の連打でライバルをストップ。前半戦にダウンを喫するも、それを境にまるで目ざまるかのように素晴らしいパフォーマンスを見せるという、いかにもトリニダードらしい勝利を収めました。
まだまだ不安定な部分も見せていたトリニダードでしたが、その能力は確かなもの。この年には一時代前のスピードスター ヘクター カマチョ(プエルトリコ)に大差の判定勝利を収め、タフなヨリボーイ カンパス(メキシコ)に見事な逆転勝利。そして今回の若き実力者カーに快勝するなど、一試合ごとにその存在感を増した一年を見事に締めくくっています。
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