風呂から出てきたら
妻が目薬が無いと言って探している
たった今まで、ここに有ったのが
急に無くなったのだそうだ
「急に無くなったって・・・そんな
家にはあたなと私の二人しかいないのに
そして私は風呂に入っていたのに
無くなるはずがないじゃないか。」
つい最近買ったばかりで
どんなものなのか私にはわからない
わからないけれども
遺失届を出されたからには
探さねばなるまい
とにかく
日時・場所・特徴・時価など聞いて
「ここにハンコを押して・・・ま・まあそれは良いか。」
「最後に目薬を見たのはどこだったのですか？」
「その時あなたは何をしていたのですか？」
と捜索を開始したのである
現場は我が家の一階のリビングおよびキッチンに絞りこまれた
妻はテレビを見ながら生協のチラシを片付けたと言う
その時リビングのテーブルの上にあったのを確認している
その直後から目薬はなくなっている
まず犯罪の匂いはしないな
犯罪は無いとして
あんたの記憶は大丈夫か？
今日の朝飯は何を食べたか？・・・答えよ
「卵焼きにキウイにカンパーニュ・・・です。」
うむ。正常である。
ライトを片手にテーブルの下とか調理台の下とか
冷蔵庫の下とかそういう所に落ちてないか探してみるも
みつからない
間違って、生協のチラシと一緒にゴミ箱に入れちゃったんじゃないのか？
「見た。」と言う
私も覗いてみたが風呂あがりゆえ中をかき回すことはしたくなかったので
ざっと見て
「確かに無いみたいだ。」
じゃあ・・・どこに行ったんだ？
４次元空間にでも飛んでいったか？
これだけ探しても見つからないのはどういうわけだ？
ともかく今夜は寝ようじゃないかと捜索を断念
夜明けを待って再開することにした
翌朝
寝起きでまだ、ぼーっとしている私は
捜索を再開
昨夜と同じように見てあるき
ゴミ箱を覗いたところ生協のチラシが目に入った
「ん？・・・生協のチラシを片付けた直後から無くなっているんだよなあ。」
今度はゴミ箱の中に手を入れて探してみた
「あら？これは・・・なんだ！」
あった！あったぞ！
こんな所で一晩過ごした目薬も不憫であった
これはどう考えてもチラシと一緒にゴミ箱に入れたものではないのか？
それにしては、随分きっぱりと
「見た！」と言ったもんだ
そう言えば
もう随分前になるが
同じゴミ箱から千円札を発見したことがあるぞ
あの時は
もっとないかと
全部出して調べたんだ
妻は
天然であった
