議員に対する3つの不信に応える

2011-01-11 01:00:00 | 議会活動
いま議員が市民の皆さんの厳しい目にさらされています。私自身市民の皆さんから問いただされることもあります。このブログにもご質問をいただき、自分なりに考えて回答させていただいたこともあります。

そんな質問のいくつかについて考えてみたいと思います。もしご意見があればまたコメントでお寄せいただければ幸いです。

寄せられるご質問の第1は、「議員は多すぎる、少数精鋭で行くべきだ」というものです。

地方自治法によれば、人口5万未満の市及び人口2万以上の町村の議員定数の上限は26人となっています。これに対し東御市は何回か定数を削減し、前回の選挙から19名となっています。

議員の定数が何人なら適正なのかについてはそれぞれご意見がおありのことと思います。しかし少数にすることと精鋭になることとは別のことです。議員定数が削減されれば多様な意見や少数意見が出ずらくなります。私自身議会活動の中で同僚議員の質問を聞いていて、そうしたもののとらえ方もあったんだと気づかされることも何度かありました。議員数を絞ることで少数意見が通りにくくなるようなことがあれば問題だと思います。

ちなみに前回の選挙で最下位当選者は680票でした。定数を削減することで当選に必要な票数が引き上げられることになれば、大きな組織をバックにした方、地域の名士、選挙資金が潤沢にある方などいわゆる力のある方が有利になります。とても私などのようにサラリーマンから立候補することなどできなくなります。

「議員は多すぎる」という議論の背景には、議員の働き振りに対する不満があるように思います。しかし「働いていないから減らすべきだ」というのは問題を正しくとらえたことにはなりません。議員数を減らしたからと言って働かない議員はやはり働かないでしょう。

そもそも「議員が働いていない」ということは市民の皆さんの声が市政に反映されていないということですから、まず市民の声を市政に反映させる仕組みをつくることです。次に議員の働き振りをチェックできる仕組みをつくることです。熊本県の五木村では議員報酬に成果主意を導入しているそうです。

しかし議員の働き振りは外部からではなかなか知ることができません。私は議会改革とは一面では議員の働き振りを明らかにすることだと思っています。

寄せられるご質問の第2は、「議員報酬は多すぎる」というものです。

ちなみに長野県内19市の市議会議員の月額報酬は以下の通りです。

長野市 600千円、松本市 510千円、上田市 425千円
飯田市 407千円、塩尻市 360千円、安曇野市360千円
伊那市 360千円、須坂市 355千円、岡谷市 353千円
諏訪市 349千円、佐久市 338千円、茅野市 325千円
小諸市 323千円、中野市 315千円、千曲市 313千円
大町市 302千円、駒ヶ根市295千円、飯山市 273千円
東御市 273千円

東御市は月額273千円で一番低くなっています。8日付けの信濃毎日新聞に長野県内の平均賃金が27万3990円と報じられていました。平均賃金よりやや低いというところです。

他のところはいざ知らず、私は東御市の場合決して高いとは思いません。議員の任期は4年ですから次回も選挙に出ようと思えばそのための選挙資金も貯めておかなくてはなりません。議員活動に関する費用もかかります。

ちなみに私の場合、議員活動に関する資料収集をネットで行なっていますのでそのための費用、印刷代、年4回発行する「議会だより」の印刷費、選挙資金の積み立てなど少なく見積もっても月5万円ほどになるでしょうか。議員報酬から税金などを控除されると手取りは20万円を切ります。そこからさらに5万円を差し引くと手元に残るのは15万円。これでは生活できません。

ですから議員報酬だけでは一般的には暮らせません。私の場合年金があり子育ては終わっているのでやってゆけますが、子育て世代は大変だと思います。まして4年後の当選は誰も約束をしてくれません。

若い人が政治にチャレンジするためには人生をかけるにふさわしい報酬が必要だと思います。そうでないと年金生活者の年寄り仕事、片手間仕事になってしまいます。市町村議会議員に60才以上の年配者が多いのはこうした事情があるからです。

寄せられるご質問の第3は、「議員はボランティアであるべきだ」というものです。

「議会も夜間や土日に開催すれば仕事と両立できる」とご指摘されます。そのことには私も賛同できます。しかし実際に2年間経験する中で思ったのは仕事との両立の困難さでした。確かに議会活動は年4回の定例会と臨時会で年間90日程度かもしれません。

しかし毎回提出される議案は分厚い予算書や決算書など膨大です。一つひとつその事業の内容にまで踏み込んで検討するには夜間や休日だけではこなし切れません。まして政策提言を行なおうとすれば周辺自治体の動向とか、これまでの審議経過を調べなければなりません。私の場合社会福祉関連は未知の分野でしたから、それぞれの現場の担当者を訪ねヒアリングすることも多かったように思います。

とりわけ財政問題など専門的な知識も必要となり、そのためには自治体問題のセミナーを受講したり講演会を聞きに行ったり、専門書を紐解いてみるなど自己研鑽も欠かせません。通り一遍の検討で採決していいというのであれば勉強など必要ないかもしれません。しかし議員としての責任を考えれば時間もお金もかかることになります。

こうしたことを考えるとボランティアではなかなか長続きしないと思います。どうしても生活の糧を得るための仕事の方が優先され、議会としての仕事は二の次になってしまうのではないでしょうか。

最近「協働のまちづくり」ということが言われるようになり、自治基本条例とか議会基本条例など新しい政治のあり方が模索されています。住民投票や事業仕分けなどこれまでにはない住民参加の方法も行なわれるようになりました。議会のあり方も変わってきます。こうした中で議会として学ばなければならないことが山積しています。

今こそ議会改革に取り組まなければなりません

こうした議論が起きてくるのは市民の皆さんからの議員に対する拭いがたい不信感があるからだと思います。名古屋市議会しかり、鹿児島県阿久根市しかりです。議会自身が変わらなければならないと思います。今回私が新しい会派に参加したのも議会改革を進めることが市民からの寄託に応える唯一の道だと思ったからです。

議会改革を進めるために私はまず「市議会だより」の刷新から始めます。2月上旬には今までと違った「市議会だより」をお届けできるよう頑張っています。

日めくりカレンダー