自治体政策セミナーに参加

2011-01-23 05:04:29 | 議会活動


22日は午後から松本に来ています。自治体問題研究所の「自治体政策セミナー」を受講するためです。大学の時に教わった先生がいま神奈川県の自治体問題研究所にかかわっており、大学の先輩からのお誘いもあり参加することにしたものです。

会場は松本市の勤労者福祉センター、参加者は150名ぐらいでしょうか。大きなバッグを抱えた方もおり全国から参加されていました。松本市選出の女性の県会議員さんの姿も見えました。

最初の講義は立命館大学の森裕之教授でした。「『地域主権改革』の幻想と『優れた地方自治』への課題」と題して講演していただきました。はっきりいってよく分かりません。私の問題意識の希薄さとこれまで聞いたことのなかった課題であったからです。

そこで先生の「検証・地域主権改革と地方財政」という本を買いました。この本の帯には「自治をつぶす改革か、自治を拡充する改革か-『地域主権改革』で地方自治と地方財政はどのように変わるのか。地方自治拡充の視点から精緻な分析と改革の方向性を示す。」とありました。興味深いタイトルです。

次の講義は元専修大学教授の唐鎌直義さん。講演タイトルは「貧困、社会保障と地方自治体-公的責任の破壊者にならないために」です。こちらはとてもよくわかりました。日本の相対的貧困率は15.7%、先進国の中でアメリカについで第2位とのこと。この貧困率は44年ぶりに政府が公表したものです。

この相対的貧困率という概念はOECDが採用しているもので「当該国の中位所得の2分の1以下の所得で生活している人の割合」です。日本の場合年収230万円未満の方が貧困と認定されることになります。すなわち「その国で営まれている普通の暮らしを大きく下回る暮らし」を貧困と定義しています。

ところが日本の貧困が見えにくくなっているところに大きな問題があると指摘されていました。生活保護を受給している世帯の割合を示す保護率はイギリスでは24.7%、これに対し日本は2.3%と極端に低くなっています。また貧困世帯の中で生活保護を受けている方は日本の場合14.4%となっています。保護を受けるべき世帯の85.6%が保護を受けられない状況にあるとのことでした。これに対しイギリスは87%です。

まさに日本の生活保護制度が機能していません。この理由は貧困者自身、自分が貧困であることに気づいていないこと、身近に生活保護受給者がいないため自分の生活の水準が比較できないこと、日本の生活保護の資力調査や扶養義務者調査が厳格に行なわれ過ぎていること、稼働能力を持つ貧困者が生活保護から排除されていること、生活保護受給者に対する市民からの厳しいまなざしがあることなどです。

私も昨年3月の一般質問で生活保護行政を取り上げて質問しましたのでよくわかりました。ちょうど22日の朝刊にも「生活保護費3兆円、09年度失業者の受給増」との記事が載っていました。

セミナーで大学の先輩とお会いし、その後夕食をともにし旧交を温めあいました。今日はセミナー第二日目「地方財政」分科会に参加します。

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