ある市民の方から土地開発公社の保有資産についてコメントをいただきました。1月31日付の読売新聞に「土地開発公社169ヘクタール塩漬け、09年度50市町村で総額508億円」という記事が掲載され、その中で東御市の土地開発公社は46億円の土地を保有し県下ワースト5に入っていると指摘しています。
ちなみに10年以上の土地保有額の上位10公社は以下の通りです。上田市77億3000万円(保有額の90.2%)、長野市59億2900万円(同60%)、茅野市57億2100万円(同99.8%)、下諏訪町48億7200万円(同98.8%)、東御市46億5400万円(同87.7%)略。
以下、いただいたコメントをご紹介します。
「1月31日読売に我が東御市の土地開発公社が、県内ワースト5だ、という記事が出ました。すでに昨年この問題に着目されていたのに敬意を表するとともに、住民一人当たりの計算でいけば、ワースト1の上田市より酷い。過去の町政責任者(実名は伏せさせていただきます-引用者)の責任を詳らかにして追及すべきです。
公務員には前任部署の責任は不問というしきたりがあり、だから、いよいよとなれば広域に逃げ込む奥の手があるが、民間はそうはいかない。土地開発公社の不始末はさかのぼって追及されるべきです、同時に『逃げ出し』公務員も追及されてしかるべしと思います。」
ご指摘の点はまさにその通りだと思います。この問題について私は昨年の6月議会で質問 させていただきました。土地開発公社の保有資産は簿価で53億円、時価で評価すればその半分の27億円位でしょうか。約27億円もの不良資産を抱え込んでいることになります。
これに対する市の対応策は、①公用地11億円は簿価で市が買い取る、②住宅用地15億円は実勢価格で販売促進し、簿価との差額約6億円は市が負担する、③賃貸用地26億円は引き続き保有し賃貸を継続する、というものでした。すなわち不良資産処理に伴う当面の市の負担は17億円となります。
コメント氏は「責任を追及せよ」と言っていますが責任追及には限度があります。責任を負わねばならない方はすでに市政を去っておられます。しかし彼らにしたところでバブルがはじけて地価がここまで下落するとは思いもよらなかったでしょう。いわば不可抗力とも言えます。
またあの当時、「請願インターチェンジ」という新しい仕組みができ、誘致するためには莫大な地元負担金が必要でした。その資金をまかなうために土地開発公社が流通団地や工業団地を造成し、誘致企業に売却するという方法はあの当時どこの自治体でも行なっていた一般的な手法でした。
それがバブルがはじけて企業活動は低迷し、円高の影響もあって海外進出が加速。その結果工場団地にたいする需要は激減しました。
私はもし東御市にインターチェンジができなければ市の発展はありえなかったと思っています。そのために流通団地や工業団地を造成することは必要な施策でした。そこにバブル崩壊の衝撃が走りました。もし責任を追及するのであればバブルが崩壊してから20年もの間、手をこまねいてただただ借金を先送りしてきたことです。この20年の間にどれくらいの利息を支払い続けたのでしょうか。それもすべて税金からです。
投資には必ずリスクが伴います。民間であればそのリスクを最小にするためにリスク管理を実施し万が一のためのリスクヘッジを行ないます。しかし行政の場合そうした意識は希薄です。
こうした体質は現在も色濃く残っています。例えばあの田中駅南口連絡橋がそうです。そもそも何のために橋を作ったのかその位置づけがはっきりしません。民間であれば交通量調査を実施し綿密な需要予測を行ないます。連絡橋を作ることにより南口をどのように開発するか計画を立てます。
ところが市は橋をつくっただけでした。監査委員からも「使われていない」と指摘されています。そして今になって市は「南口開発計画」なるものを都市計画審議会に提出しています。本来であれば「南口をこのように開発したい、だから連絡橋が必要だ」という論理展開になるのですがそれがまるで逆です。「最初に連絡橋ありき」で物事が進められ、今になって辻褄あわせのようなことを行なっています。行政は過去から何も学んでいないと感じます。
一方議会におけるチェック機能がどのように働いたかも検証すべきです。土地開発公社は「先行取得」という手法で、議会に何も相談することなく土地を購入していました。その後も土地開発公社という別法人のため議会によるチェックが働きにくく問題は先送りされてきました。
南口連絡橋については当初3億円ということで議会に上程されました。議員の中に3億円ならという軽い気持ちがなかったとは言えませんが可決されました。その後6億、8億とあれよあれよと増額されました。最初にGOサインを出した議会としては承認せざるを得ず事業が進められました。
口が悪いかもしれませんが議会は行政にはめられたのです。最初から8億円と言えば議会を通らなかったかもしれません。それを小出しにすることにより議会を通りやすくしたのではないでしょうか。これは私の勝手な憶測に過ぎませんがそうした考えがなかったと言い切れるでしょうか。
この問題について私たちは多くのことを学びました。コメント氏がおっしゃるように過去にこだわりその責任を追及するのではなんら生産的ではありません。それよりも前を見据えて、今後よりよい市政を目指すための糧にしたらどうでしょうか。
幸い花岡市政はこの問題についてもきちんと解決方向を指し示してくれています。「簿価評価ではなく時価評価すべき」との私の指摘にも答えて不良資産額を明示されました。読売新聞では県下ワースト5かもしれませんが、その解決に向かって一歩一歩、あゆみ始めていることは特筆してもいいのではないでしょうか。
以上コメント氏への回答とさせていただきます。
ちなみに10年以上の土地保有額の上位10公社は以下の通りです。上田市77億3000万円(保有額の90.2%)、長野市59億2900万円(同60%)、茅野市57億2100万円(同99.8%)、下諏訪町48億7200万円(同98.8%)、東御市46億5400万円(同87.7%)略。
以下、いただいたコメントをご紹介します。
「1月31日読売に我が東御市の土地開発公社が、県内ワースト5だ、という記事が出ました。すでに昨年この問題に着目されていたのに敬意を表するとともに、住民一人当たりの計算でいけば、ワースト1の上田市より酷い。過去の町政責任者(実名は伏せさせていただきます-引用者)の責任を詳らかにして追及すべきです。
公務員には前任部署の責任は不問というしきたりがあり、だから、いよいよとなれば広域に逃げ込む奥の手があるが、民間はそうはいかない。土地開発公社の不始末はさかのぼって追及されるべきです、同時に『逃げ出し』公務員も追及されてしかるべしと思います。」
ご指摘の点はまさにその通りだと思います。この問題について私は昨年の6月議会で質問 させていただきました。土地開発公社の保有資産は簿価で53億円、時価で評価すればその半分の27億円位でしょうか。約27億円もの不良資産を抱え込んでいることになります。
これに対する市の対応策は、①公用地11億円は簿価で市が買い取る、②住宅用地15億円は実勢価格で販売促進し、簿価との差額約6億円は市が負担する、③賃貸用地26億円は引き続き保有し賃貸を継続する、というものでした。すなわち不良資産処理に伴う当面の市の負担は17億円となります。
コメント氏は「責任を追及せよ」と言っていますが責任追及には限度があります。責任を負わねばならない方はすでに市政を去っておられます。しかし彼らにしたところでバブルがはじけて地価がここまで下落するとは思いもよらなかったでしょう。いわば不可抗力とも言えます。
またあの当時、「請願インターチェンジ」という新しい仕組みができ、誘致するためには莫大な地元負担金が必要でした。その資金をまかなうために土地開発公社が流通団地や工業団地を造成し、誘致企業に売却するという方法はあの当時どこの自治体でも行なっていた一般的な手法でした。
それがバブルがはじけて企業活動は低迷し、円高の影響もあって海外進出が加速。その結果工場団地にたいする需要は激減しました。
私はもし東御市にインターチェンジができなければ市の発展はありえなかったと思っています。そのために流通団地や工業団地を造成することは必要な施策でした。そこにバブル崩壊の衝撃が走りました。もし責任を追及するのであればバブルが崩壊してから20年もの間、手をこまねいてただただ借金を先送りしてきたことです。この20年の間にどれくらいの利息を支払い続けたのでしょうか。それもすべて税金からです。
投資には必ずリスクが伴います。民間であればそのリスクを最小にするためにリスク管理を実施し万が一のためのリスクヘッジを行ないます。しかし行政の場合そうした意識は希薄です。
こうした体質は現在も色濃く残っています。例えばあの田中駅南口連絡橋がそうです。そもそも何のために橋を作ったのかその位置づけがはっきりしません。民間であれば交通量調査を実施し綿密な需要予測を行ないます。連絡橋を作ることにより南口をどのように開発するか計画を立てます。
ところが市は橋をつくっただけでした。監査委員からも「使われていない」と指摘されています。そして今になって市は「南口開発計画」なるものを都市計画審議会に提出しています。本来であれば「南口をこのように開発したい、だから連絡橋が必要だ」という論理展開になるのですがそれがまるで逆です。「最初に連絡橋ありき」で物事が進められ、今になって辻褄あわせのようなことを行なっています。行政は過去から何も学んでいないと感じます。
一方議会におけるチェック機能がどのように働いたかも検証すべきです。土地開発公社は「先行取得」という手法で、議会に何も相談することなく土地を購入していました。その後も土地開発公社という別法人のため議会によるチェックが働きにくく問題は先送りされてきました。
南口連絡橋については当初3億円ということで議会に上程されました。議員の中に3億円ならという軽い気持ちがなかったとは言えませんが可決されました。その後6億、8億とあれよあれよと増額されました。最初にGOサインを出した議会としては承認せざるを得ず事業が進められました。
口が悪いかもしれませんが議会は行政にはめられたのです。最初から8億円と言えば議会を通らなかったかもしれません。それを小出しにすることにより議会を通りやすくしたのではないでしょうか。これは私の勝手な憶測に過ぎませんがそうした考えがなかったと言い切れるでしょうか。
この問題について私たちは多くのことを学びました。コメント氏がおっしゃるように過去にこだわりその責任を追及するのではなんら生産的ではありません。それよりも前を見据えて、今後よりよい市政を目指すための糧にしたらどうでしょうか。
幸い花岡市政はこの問題についてもきちんと解決方向を指し示してくれています。「簿価評価ではなく時価評価すべき」との私の指摘にも答えて不良資産額を明示されました。読売新聞では県下ワースト5かもしれませんが、その解決に向かって一歩一歩、あゆみ始めていることは特筆してもいいのではないでしょうか。
以上コメント氏への回答とさせていただきます。