競争原理だけでいいのか?

2011-02-16 09:56:13 | 議会活動
入札問題についてこのところ考えています。前日のブログで私は小諸市に比べて東御市では競争原理が働いていないのではないかと述べました。しかし信州市民オンブズマンの入札にかかわる調査に関して2月8日のブログで以下のようにも指摘しています。

「一般競争入札というのはわけへだてなく全ての企業が入札に参加できるやり方です。そこには際限のない競争原理が働きます。当然弱肉強食の世界です。力のある企業や価格競争力のある企業が席巻することは明らかです。小さな企業は生き残ってゆくことができません。当然落札単価は大幅に引き下げになります。

しかしそれだけでいいのでしょうか。行政運営に際限のない競争原理を持ち込めば、県外資本の郊外店に地域の商店街は席巻され消滅するでしょう。大手ゼネコンが巾を利かせ地元の中小工務店は姿を消すでしょう。こうした小さなお店はお祭りや地域の行事に積極的に参加し、地域文化を担ってきました。競争原理にさらされた街からはその地域の風情や風格が失われることになるでしょう。」


一般競争入札と指名競争入札をどのように考えるべきなのでしょうか。これは極めてむずかしい問題です。

一般市民の立場からすれば一般競争入札によってよりコストダウンを図るべきでしょう。しかしそれによって一部の価格競争力のある企業に落札が集中し、大多数の中小零細企業の経営が行き詰るというのでは問題があります。競争原理を働かせつつ、多くの企業が立ち行くような施策が必要となります。

指名競争入札は一面において中小零細企業に広く仕事が行き渡るように配慮していると言われます。しかしどの企業を指名するかについて行政側の一方的な判断であり、透明性が確保されているわけではありません。やる気のある頑張っている企業とそうでない企業を同列においていいのかという問題もあります。

一方、一般競争入札については応札企業が増えることにより、行政側の事務負担が増すとの意見があります。これについては企業審査を応札企業全て実施するのではなく、落札企業のみ実施するという「事後審査型一般競争入札」というやり方があります。

いずれにしても入札における透明性、公平性、競争性を考慮しつつ、市民にとっても企業にとっても納得性のある入札制度を目指すべきではないでしょうか。

人工透析室が竣工しました

2011-02-16 02:19:14 | 議会活動
2月15日は朝から大雪でした。昨夜から降り続いた雪は朝までに積雪20センチ以上にもなりました。このところ雪かきにが大変です。自宅の庭と前の道、そして公民館の庭の雪かきです。雪かきをしているかたわらを子供たちが挨拶をして通って行きました。途中で区の役員さんが駆けつけてくれ、一緒に公民館の庭の雪かきをしました。

昼からは市民病院で人工透析室の竣工式でした。昨年6月末、私が社会福祉委員の時起工式を行なったものです。人工透析を受けている知人も期待していたので以前から注目していました。そこで呼ばれていなかったのですが一般市民として見学しました。市議会だより用の写真を撮るという事情もありました。

竣工した人工透析室のベッド数は17床、うち2床は個室となっています。病室は明るくゆったりとしており、待合室も十分な広さが確保されていました。広い窓からはプールやグランドが見えます。

これまで市民病院には透析ベッドは9床。市内の透析患者さんのニーズに応えることができず丸子の病院まで通わなければなりませんでした。今回の増床により市内の患者さんにほぼ対応できるとのことでした。市民の安心と安全を守る市政実現へまた一歩近づきました。


竣工式であいさつする市長。


明るくゆったりとした病室です。

競争は確かに行なわれているのか?

2011-02-16 00:38:00 | 議会活動
これまで何度かにわたって公共工事の落札方法について考えてきました。落札方法などについては私は全くの門外漢であり、詳しいことはわかりません。そこでお隣の小諸市さんと比較してみました。

入札に関するデータは小諸市さんはすべてホームページ上で公表されています。これに対し東御市では予定価格などのデータは担当の窓口まで行かないとわかりません。こんなところにも両市の情報公開に対する姿勢の違いが伺われます。

下図は両市の落札率を示したものです。落札率とは市の落札予定価格と実際に落札した価格の割合のことです。たとえば落札率90%とは予定価格の90%で落札したということです。むろん予定価格は事前には公表されていません。業者は仕様書やこれまでの経験などから市の予定価格を推定し、それをもとに落札価格を決めているのです。


上図を見てまずわかるのは東御市の場合90%以上に落札率が集中しており、これに対し小諸市さんは80%を少し上回るあたりに集中していることです。実際の平均落札率は東御市が93.4%、小諸市さんが82.4%と10ポイント近く東御市が高くなっています。


両市の落札率の割合をグラフにしてみました。東御市の場合落札率が95%以上が47%、90~95%のものが30%、全体の8割近くが90%以上となっています。これに対し小諸市さんは80~85%のものが78%となっています。

先日の御牧乃湯の改修工事の落札率は99.57%という驚くべき数字でした。99%を上回る落札はほかにも7件あり、中には100%というものもありました。私は入札とはお互いに競いあって、より安いところが落札するとばかり思っていました。ところが数字で見るかぎりお互いに競い合っている様子は伺えません。

こうした状況について市の担当者は「予定価格の積算にあたっては県が制定した単価表を使い、同じソフトを使っているから落札額は限りなく予定価格に近づいて当然」との認識です。落札価格とは業者がお互いに競いあって、その結果たどり着いた価格であって予定価格ではないはずです。落札価格と予定価格を同一視するようなこうした見解は、入札制度の何たるかが分かっていないと言わざるを得ません。

落札価格が限りなく予定価格に接近しているということは、競争が正当に行われなかったのではないかとの疑いを抱かせます。

これに対し小諸市さんではこれだけ厳しい中で仕事を確保しようと競うあっている様子が如実に伺われます。小諸市さんの場合なぜ80%を上回るところに落札率は集中するかというと、ここが最低落札価格だからです。これ以下では失格になってしまいます。

入札の場合、業者にとってはいくらで入札するかの判断が重要となります。あまり高い金額提示したのでは他の業者にとられてしまいます。そうかといってあまり安い金額では赤字になってしまいます。コストダウンをどのように進めるか、より安価に資材調達するにはどうしたらいいか自社の価格競争力が試される時でもあります。


その判断基準が二つあります。市の設定する予定価格であり最低価格です。入札価格はこの二つの価格の中で決定されるのです。小諸市の業者はその最低価格に集中し、東御市は予定価格に限りなく接近しています。どちらに競争原理が働いているかは言うまでもありません。

実際に東御市と小諸市の両方で仕事をされている会社があります。その落札率を見ると明らかに小諸市と東御市とでは入札に対する企業行動に大きな差が見られます。小諸市では仕事を取るために最低価格ぎりぎりで落札しているのに対し、東御市では予定価格をわずか下回る入札額で落札しています。

なぜそのようになるのでしょうか。一つ言えるのは東御市ではほとんど指名競争入札であり、小諸市では一般競争入札となっています。入札制度の違いがそこにあります。

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