民間委託でいいのだろうか?

2011-02-09 23:04:20 | 議会活動
以前ブログで4月から上下水道料金の窓口業務が全面的に民間委託され、「上下水道料金センター」が開設されると書きましたが、民間委託について考えてみたいと思います。

今回の民間委託のねらいの第一は滞納金問題への対応です。昨年下水道負担金の時効で6400万円の回収不能が発生したり、下水道料金の徴収漏れが発覚し大きな問題になり担当者の処分が行なわれています。民間に委託することにより回収率の向上を図るとしています。

民間委託の第二のねらいは経費削減です。市の職員がやるとお金がかかるから民間委託するということです。すなわち公務員の給料の方が税金を払っている市民の方よりも高い、だから民間の人をより安く使おうというのです。これでは市の職員は給料に見合った仕事をしていないことを自ら認めているようなものです。

民間委託の第三のねらいはサービスの向上です。例えば休日などで水道料金を払いたくても払えなかったものが民間委託すると休日でも対応できるという説明がありました。しかしこれはいかがなものでしょうか。公務員は土日は休むが、民間は土日であろうが無休でやれということです。休日をやり繰りして土日の対応ができないのでしょうか。

以上の3点をまとめると以下のようにならないでしょうか。

「市の職員は高い給料をもらい、土日もしっかり休めるにもかかわらず、時効や徴収漏れなどで市財政に大きな穴を開けるなど満足な仕事もできない。だから安い給料でも土日返上でよく働き、高い業績をあげる民間に委託する」

言ってみればこれは市の職員がやっても滞納が削減できなかったから「民間に丸投げする」ということです。これではたしていいのでしょうか。市の職員の皆さんは仕事に対する責任感、プライドを失ったのでしょうか。

滞納や未収金が多くなったのはどこに原因があったのかその問題を明らかにし、解決策を立てるというのが本来の仕事の仕方です。その中で仕事仕組みを変えたり、問題解決のために他の部署との連携を進め、さらには上下水道課だけの問題ではなく全体の問題として取り組むべきではないでしょうか。

滞納金の督促という仕事は神経も使うし、場合によっては相手から叱られたり脅されたりすることもあります。時には休日や夜訪問することもあるでしょう。相手が経済的に困窮し料金を支払えない場合もあるでしょう。言ってしまえばドブ板を踏むような地味でいやな仕事です。それを安くてどこでもいつでも働く民間に委託し、自分達は高給をもらい土日に休んでいていいのでしょうか。

民間委託について先日行なわれた上下水道審議会で市民の委員の皆さんから不安の声が聞かれました。すなわち民間委託した場合徴収第一主義となり、生活困窮世帯などとの間でトラブルが生じないかというものです。

民間委託契約する場合、未収金や滞納金の収納率の向上を条件にすると聞いています。当然のことながら受託業者は収納率向上に全力であたるようになります。もし収納実績が上げられなければ次の更新時に契約を打ち切られてしまうおそれがあるからです。そうした中で無理をした集金や相手の経済状況を省みない取立てが行なわれないと言い切れるでしょうか。

市の職員が担当していれば相手の生活困窮状況によっては、福祉の窓口につなげるとか市のネットワークでフォローすることもできます。民間業者ではそうは行きません。

私は現在の未集金や滞納金の整理を進めてほしいと思いますが、それが民間に丸投げすることで解決できるとはとうてい思えません。民間委託のメリットとデメリットをもう少していねいに検証する必要があるのではないでしょうか。

再三にわたり入札問題を考える

2011-02-09 20:00:52 | 議会活動
入札問題について引き続き考えています。下記に信州市民オンブズマンの県内19市データをもとに作成した撒布図を掲げます。これはX軸に公共工事における一般競争入札の割合を、Y軸に入札の落札率(市の予定価格と落札価格の割合)が90%を越える件数の割合をとりプロットしたグラフです。

たとえば東御市は一般競争入札の割合は4.6%と、ほとんどが指名競争入札となっています。90%落札率は79.3%と落札率が90%を越えるものが8割になっています。



さて上記のグラフからどのようなことが分かるでしょうか。まず最初に気がつくのは多くの市がX軸の左側に寄っており一般競争入札の割合が少ないということです。そして落札率90%の割合が高いところに東御市を含め多くの市が集中していますが低い市も見られます。一般競争入札が少ないからと言って落札率が高くなるわけではありません。



次に落札率が高い市に注目しました。確かに一般競争入札が少ない市、つまり指名競争入札が多い市は落札率も高くなりますが、そうかといって一般競争入札が多い市でも落札率が低いわけではありません。



一般競争入札の多いグループと、指名競争入札の多いグループを分けてみました。ご覧いただいてもお分かりのように90%以上の落札率が高いところも低いところもあります。



市民オンブズマン諸氏は、「一般競争入札を導入すれば入札の透明性が高まり90%以上の落札率は低下し、指名競争入札が多ければ談合が行なわれやすくなり落札率は高まる」とお考えになっているのではないでしょうか。この推論が正しければ撒布図は左上から右下にプロットされなければなりません。しかし下図のように右上と左下にこの推論からははずれたグループがあります。



以上から二つのことが言えます。まず第一に、一般競争入札の多寡によって入札の透明性が担保されるものではないということです。第二に、一般競争入札の導入により必ずしも落札率が低下するものではないということです。

しかるにオンブズマン諸氏は一般競争入札の割合が高いことをもって「民主度」が高いとしています。これはあまりに一方的ではないでしょうか。また「落札率90%以上は談合疑惑あり」としていますが、これもどのような根拠があってのことなのでしょうか。じっくりとデータを見て考えたいと思います。

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