ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ジェイン・オースティン 秘められた恋

2009-10-07 17:55:35 | さ行
鹿児島への日帰り“弾丸”出張で
風邪、ぶりかえしてます…
医者にも行ったんだけどなー
みなさんもお大事に。


さて
深まる秋にぴったりの文学的作品

「ジェイン・オースティン 秘められた恋」71点★★☆


「プライドと偏見」とか
「ジェイン・オースティンの読書会」とか
彼女の原作や、関連した映画を
いろいろ見てきたので
本人に興味あって、観てみました。


なかなかおもしろかった。

セリフも明快でわかりやすいし
非常に整頓されていて好印象。

自立を模索する女性の物語として
いまの時代にも
共感されやすいと思います。


舞台は1795年、イギリス。
聡明で独立心を持つ
20歳のジェイン・オースティン(アン・ハサウェイ)は
親からすすめられた良家の息子との縁談に気乗りせず

貧しい法律家のトム・ルフロイ(ジェームズ・マカヴォイ)と
恋に落ちるというお話。


この経験から名作「プライドと偏見」が
生まれたというのも史実だそうで
興味深いです。


まあ、オースティンは生涯独身だったので
この恋の結果は言わずもがな、なのですが


彼女の選択が
単なる家族のための自己犠牲ではなく

おそらく
「小説を書き続けたい」という
自己表現を選んだゆえの犠牲であることを
観客に想像させる脚本がうまい。

自立と結婚の間で揺れる
女性の心のひだを
うまくすくいとっていると思います。

しかし
ジェインに
「まぬけっぽい」とフラれてしまう
良家のおぼっちゃん。

たしかにちょっとモッサリしてるけど
なかなか洞察力に満ちたいいヤツで

ぽつお番長など
「最初っからこっちにすればいいのに」
と思ってしまうのですが


これは男を見る目が肥えたのか
単なる年の功か…


★10/31からTOHOシネマズシャンテほか全国で公開。

今日、学習院大学文学部教授で
『洋書事始は映画から』などの著作もある
上岡伸雄さんに
本作についてインタビューしてきました。
さすが文学ツウならではの視点が
とてもおもしろかった。

10/26発売の週刊朝日で紹介します。
お楽しみに!
コメント (3)
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