ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

わが心の歌舞伎座

2011-01-09 18:44:04 | わ行
海老蔵騒動があったと思ったら
出演されてる中村富十郎さんの訃報が。

いろんな意味で
より重要かつタイムリーな映画になりました。


「わが心の歌舞伎座」76点★★★★


歌舞伎座の建て替えを前にした
「さよなら公演」の舞台と
その舞台裏を追った
2時間47分のドキュメンタリ-。


市川團十郎、尾上菊五郎、
片岡仁左衛門、中村勘三郎、松本幸四郎(敬称略)など

11人のスター役者
歌舞伎座の想い出と
自身のベスト舞台を語り、

その合間に
舞台裏や稽古風景などが挟まれる、という趣向です。


歌舞伎鑑賞は3度ほどしかない身、
正直、寝るかと思いましたが

意外や全部見ましたぞ。


柱の一本から古びた階段まで
慈しむように撮られた
美しい映像といい

“歌舞伎座”を主人公にしている、というのが
すごく伝わってくるし

なにより一流役者たちの輝きには
目を離させない強烈な磁力がある。

一言一言に
重みがあるんですよねー。


「歌舞伎とは日本の風土や気候から出た
汗やアクのようなもの」という中村吉右衛門。

「伝統を継ぐためにはコピーでなく
自分たちなりの何かを
少しずつ足していくのだ」という團十郎。


さらに思わぬ場所で
稽古をしていたとか(これはびっくり!)

舞台の絵図が公演ごとに
新しく描き変えられているなど
(しかも意外な場所で!)

「へえ」な裏話も満載。


貴重な記録でありつつ
歌舞伎って何なのか、ということが
素人にもとてもわかりやすく伝わってきます。


ファンのための新春公演というだけでなく

歌舞伎をあまり知らないヒトにも
ちゃんと楽しめる映画なんで
おすすめです。


しかし番長、子供のころから
柔和でメガネの
片岡仁左衛門が好みなんだよなア。


★1/15から東劇ほか全国で公開。

「わが心の歌舞伎座」公式サイト

そして
今年もおなじみ
「週刊朝日」ツウの一見で

東大教授で歌舞伎研究家の
古井戸秀夫さんにお話を伺いまして

よりいっそう
この映画の貴重さとおもしろさが
わかった次第です。

掲載は1/18発売(のはず)。
ぜひご覧くだされ。
コメント (2)
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