見るだけで
「神社にお参りしてスッキリ」みたいになる不思議。
「悼む人」69点★★★★
********************************
線路脇や道路脇で
ひざまずき、一心に何かを祈る青年・静人(高良健吾)。
彼は不慮の死を遂げた人々を
自分なりの方法で「悼(いた)む」ために
日本全国を旅している。
その姿を見た雑誌記者(椎名桔平)は
彼に興味を持ち、取材を始める。
あるとき静人は、ある殺人事件が起こった現場で
倖世(石田ゆり子)と出会うが――。
********************************
原作・天童荒太×監督・堤幸彦。
不思議な話であります。
自分とは無関係な死者について調べ、
その人が亡くなった場所へ出向き
「あなたを憶えておきます」と弔う青年の話。
別に死者と交信できるとか
スピリチュアル方面に行くわけでなく、
なぜそんなことをしているのか?と
登場人物たちも、観客も誰もが疑問に思うわけですが
「これ」という理由がないのがミソというか。
彼の母親(大竹しのぶ)は末期がんだし
途中から同行する女性(石田ゆり子)にも死の影がある。
すべてに“死”がまとわりつく暗い話なのだけど
観たあとにどこか、心がすーっとするというか
お参りをして、清々しい気持ちになるのと同じような感覚になる。
映像が美しいこともあるけれど
誰かを思い、頭を下げるというその行為は
下げる側の勝手な自己満足であっても、
心を浄化させる行為であることは、確かなのかもしれない、と
ふうむ……と感じました。
主演の高良健吾氏が
いたわりの想いが通じる“声”で演じて
説得力を出しています。
ロケ地は福島が中心だそう。
堤幸彦監督は
きっと震災被害者への追悼にも、思いを重ねているのだと思います。
★2/14(土)から全国で公開。
「悼む人」公式サイト