『ボヴァリー夫人』の映画化……とかではありません。
そこが、いい(笑)
「ボヴァリー夫人とパン屋」74点★★★★
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舞台は現代。
フランスのノルマンディー地方の美しい村で
パン屋を営む中年男マルタン(ファブリス・ルキーニ)。
ある日、彼の家の隣に
イギリス人の夫婦が引っ越してくる。
若く美しい妻(ジェマ・アータートン)の名は
あの『ボヴァリー夫人』と同じ
“ジェマ”ボヴァリー。
マルタンは彼女から目が離せなくなってしまい――?!
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「美しい絵の崩壊」アンヌ・フォンティーヌ監督作品。
この人はうまいですねえ。
文学の香り漂わせつつ、
メロドラマや情事を、女性好みの優しい官能で品よく描き
人間の普遍の業や滑稽さを
チクリと刺す。
さらにこの映画は
ユーモアがたっぷりで、笑えるんです。
主人公は
出版社勤務からノルマンディーの田舎に帰り、
実家のパン屋を継いだ中年男マルタン。
演じるは
「屋根裏部屋のマリアたち」の名優ファブリス・ルキーニ。
文学好きな彼の家の隣に、ある夫婦が引っ越してくる。
その妻の名はなんと
あの小説『ボヴァリー夫人』と同じ!
しかもこの妻の(計算された)無防備さが、
めちゃくちゃ色っぽいのだ。
演じるジェマ・アータートン、
「アリス・クリードの失踪」(09年)や
「プリンス・オブ・ペルシャ」(10年)で
黒髪のイメージが強かったけど
明るいブラウンの髪に、マシュマロボディをテロンとしたワンピに包み
いままでで最高にナチュラルで
カワイイよ?!
そんな彼女に
一目で恋してしまうマルタンですが
悲しいかな、彼女にとっては
ただの村の親切なパン屋のおやじ(苦笑)。
で、彼女は突然現れた村の若いハンサムくんと
不倫に走ってしまう。
マルタンはその様を
出馬亀よろしく見守ることになってしまう……という展開(笑)。
この辺りの描写もおかしいんですが
とにかくこの映画は結末と、オチに加点!
マルタンが心配するように
不倫の結果として
彼女にも『ボヴァリー夫人』のように悲劇が起こるのか――?!
ぜひ楽しんでいただきたいです。
★7/11(土)からシネスイッチ銀座ほか全国で公開。
「ボヴァリー夫人とパン屋」公式サイト