日本を
“戦場(いくさば)”にしたくないよ。
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「戦場ぬ止み」69点★★★★
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「標的の村」の
三上智恵監督が
まさに“いまここにある”沖縄の問題と状況を
描き出したドキュメンタリー。
問題となるのは
辺野古の海に建設されようとしている最新の米軍基地。
オスプレイ100機が配備される巨大な新基地に
県民たちは不安と怒りに包まれている。
なんとか建設を止めようと
身体を張ってゲート前に座り込む人々などを中心に
カメラは現状を写していきます。
登場するのは
機動隊に押されても負けない85歳のおばあや、
17年前から一家で反対活動をしている男性などなど。
いっぽうで、カメラは反対派だけでなく
基地建設に反対しにくい立場の人々も
ちゃんと写し出すんですね。
辺野古の漁師さんのひとりが
補償金をもらっていることを正直に話す様子には
けっこうびっくりした。
県民どおしでの微妙な立場や状況が
よくわかります。
でもやっぱり
辺野古の海のなかで生きているサンゴに
くさびが打たれる“殺戮”の瞬間には
ホントに悲しみと怒りで、胸がギュウウッとなるんですわ(涙)
それに一番怖いのは
ゲート前でのぶつかり合いなどの状況が
全国の主要メディアで全く報道されないことですよ。
背筋が寒くなりますよ。ホントに。
そんななか、映画はあの歴史的勝利の日、
2014年11月の県知事選を迎えるんですね。
しか~し!その数日後に
あ然とする展開が待っていた――。
もう見てるとマジではらわた煮えくりかえりますよ。
ここまで沖縄を無視する、日本政府ってナニ?
いま起こっていることを伝え、
見る人を突き動かしたいという
作り手のハッキリとした意思表示のある映画です。
その分、人々の抵抗や叫びを
ガチで正面から映しているので
ときにヒステリックにも感じてしまうのも確か。
もちろん、それだけの痛みなのだと思うのだけど。
主張をまっすぐに伝えることの難しさも感じる。
「標的の村」は驚きが一番で、そこは感じなかったし
これは
あまりにリアルタイムな話だからかもしれない。
ジャン・ユンカーマン監督の
「沖縄 うりずんの雨」で
沖縄の歴史と状況を知ってから
合わせてみると、よりよいかと思います。
★7/18(土)から全国公開。
(5/23からポレポレ東中野、7/11から沖縄・桜坂劇場で先行上映中)
「戦場ぬ止み」公式サイト