サルガドの写真は、まさにネ申。
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「セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター」75点★★★★
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世界的な写真家、セバスチャン・サルガドのドキュメンタリー。
ヴィム・ヴェンダース監督と
サルガドの息子が共同監督し、
サルガド自身の語りとともに、これまでの仕事を振り返り、
進行中のプロジェクトを追う構成になってます。
彼の“神”写真が、たくさん紹介されるので
サルガドの写真を初めて知る人も
絶対に引き込まれると思う。
この人の写真は、すごいんだもの、マジで。
「どうやって撮ったの!?あり得ない」というほど
完璧な構図。完璧な瞬間。
例えば悲惨な状況を、そのままに映すのではなく
違う視点から
物語を想起させるように切り取って
見る人の心に焼き付けるような。
やはり1985年の
アフリカの飢餓を撮った「SAHEL(サヘル)」の写真が胸を打ちますが、
肉体労働者たちを映した「Workers」の写真もすごい。
ブラジルの金鉱で働く人々がわらわらわらわら……とひしめく写真なんて
聖書の世界のシーンを見ているようというか、
もうね、頭がくらくらします。
彼はテーマを決めて、リサーチをし
6~7年をかけて撮影をするそうで
仕事のやり方も勉強になる。
写真を一緒に選び、編集をするのは奥さんで
そのなれそめや、ともに歩んだ道のり、
そして祖父や息子の話などが、オープンに語られるのもいい。
次男の話は知らなかったな。
なにより
アフリカ各地の飢餓や難民、ルワンダの大虐殺、
ユーゴの紛争など
様々な悲劇を見つめてきた彼が、
しかし厭世的にならず、悲嘆にくれるだけでなく、
地球や自然の再生能力に注目し、自ら活動しているという部分に
ガーンときた。
あれだけの悲劇を見てきた人が
まだ希望を持てると考えているんだ……って。説得力がある。
サルガドの写真と彼の語りを見るだけで価値があるし、
さらにヴェンダースも負けじと
美しいモノクロ階調で彼を映してますから。
最強のコラボね。
★8/1(土)からBukamura ル・シネマほか全国で公開。
「セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター」公式サイト