あら、これ、わかりやすい!
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「みんなのための資本論」72点★★★★
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あのピケティ氏より早く
「格差」を問題にしてきた経済学者
ロバート・ライシュ氏のドキュメンタリー。
これは、ホントにわかりやすくて
おもしろい。
のっけから、小さなミニクーパーに乗って登場するライシュ氏は
身長147センチ。
「この車が自分と釣り合っている」とニコニコ顔で語り、
カリフォルニア大学バークレー校で
学生たちを前に講義をする。
その語りは
話術巧みなエンターテイナーさながらで
グイグイ引き込まれます。
アメリカでは貧困層1億5千万人の財産を
合わせた以上の富を
たったの400人の富裕層が所有している。
なぜ、そんなことになってるのか?
その解説が
とてもわかりやすいんです。
「消費至上主義」には疑問を持つワシだけど、
「中間層(年収500万を中心に、上限50%の年収250万~750万の層)の消費が、国を支えているんだ」という
ライシュ氏の主張には納得。
「格差が問題なのではなく
格差に我慢できないほどの状況が問題なのだ」という話にも共感できる。
結局は
富裕層への税率優遇→金持ちの政治掌握→民主主義の崩壊となっていくんだと
理解できました。
必要な対策が「まずは富裕層への公平な課税」という点も
ピケティ氏の主張とまったく同じ。
(映画にはピケティ氏の共同研究者
エマニュエル・サエズ氏も登場してます)
1970年代からのグローバル化とテクノロジー進化が
中間層となるマジメなフツーの労働者の賃金を低下させ
現在の悪循環を生んでいること
そのしわ寄せが
過剰な民族差別や右翼化を生んでいる、という話を聞きながら
うわあ
現代日本とリンクすることこの上ない。
他人事じゃありません。
しかも
ライシュ氏はあのビル・クリントン氏と学友で
かつては労働大臣も務めた人。
机上だけでない現場経験者の重みは大きいし、
また彼の来歴もちゃんと紹介され、
「なぜ、彼が“不公平”を問題にするのか」も納得できる。
「シャーリー&ヒンダ」のように
消費社会を見直す→エコ、への流れにも共感するけれど、
実際、ライシュ氏の唱える話は
すごく現実的だと思える。
なにより若者たちに本気で希望を託している、
彼の講義にはウルッときました。
勉強になるエンターテイメント経済学、
おすすめです。
★11/21(土)からユーロスペースほか全国順次公開。
「みんなのための資本論」公式サイト