河瀬直美監督×永瀬正敏×ジュリエット・ビノシュ!
「Vision」70点★★★★
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紀行文を執筆中のフランス人女性ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は
奈良・吉野の山深い森にやってくる。
彼女は山守の男・智(永瀬正敏)と出会い、
彼の家に泊めてもらうことになる。
ジャンヌはこの村に昔から伝わる「ビジョン」と呼ばれる薬草を探していた。
智が薬草に詳しい知人で目の不自由なアキ(夏木マリ)に
ジャンヌを紹介すると
アキは、全てを知っているかのようにジャンヌにこう言う。
「あんただったんだね」――。
ジャンヌの探す「ビジョン」とはなにか?
そしてそれは、人類に何をもたらすのか?!
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千年に一度現れるという幻の植物「ビジョン」を探す女性(ジュリエット・ビノシュ)と
孤独な山守の男(永瀬正敏)の出会い。
そして、そこに巡り合わされた運命。
そのすべてを包み込む、奈良の自然の神秘と魔界に包まれる――
なんとも不思議な映画でした。
そこにある光も、トンネルの闇も、すべてが魔界的で、
美しく癒やされながらも
終末や妖しの予感に包まれている。
「千年に一度起こること」とは何なのか?
様々な謎に、解はあるのか?
すべては観る人にゆだねられる。
そして突然現われる謎の青年(岩田剛典)といい
生と死のやりとり、というか、死の予感はずっとつきまとうんですね。
さまざまを考えせるけれど
これは
分断や虐殺止まぬ世界への、監督の映像のよる言葉であり、「言霊」なのだろうと
ワシは受け取りました。
そして、おもしろいことに
この観る人への解のゆだねと、命のやりとりという感覚は
奇しくもやはり海外スタッフとの協力で撮影された
ディーン・フジオカ主演×深田晃司監督の「海を駆ける」に
不思議な共通点があるようにワシは感じました。
★6/8(金)から全国で公開。