ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ガザの美容室

2018-06-22 23:48:55 | か行

 

ニュースの現場における

舞台劇のような、シュールさと、その意味。

 

「ガザの美容室」69点★★★★

 

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 パレスチナ自治区、ガザ。

女性店主クリスティン(ヴィクトリア・バツリカ)の美容室は

今日も混雑している。

 

店にいるのは、離婚調停中の主婦(ヒアム・アッバス)や、臨月の妊婦、

結婚式を今夜に控えた若い花嫁と母親、薬物中毒の女性や、敬虔なムスリム女性。

 

それぞれおしゃべりをしながら順番待ちをしていたが

美容室が停電してしまう。

 

国境が封鎖されているため、発電機用のガソリンも届かない。

 

そんななか、外で銃声が鳴り響き――。

 

 

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1988年、ガザ生まれの双子の監督による初の長編映画です。

 

 

美容室を舞台に

ワンシチュエーションで進行するドラマで

まず感じたのは「これ、舞台劇だなあ!」ってこと。

 

ワンシチュエーション劇はけっこうなテクが必要で、

彼らはうまいほうだとは思います。

それでもやっぱり、話や状況を作るためか

なかなか進まない美容師の手の遅さに、客でなくともイライラしてしまった(苦笑)

 

それでも、女だけのこの空間が

イスラムにとって幾重にも深い意味を持つことは想像できます。

 

そして後半、爆音とともに始まる恐怖。

銃撃戦が行われている外の状況を

あくまでも想像させるだけにとどめているのに

まるで彼女たちと一緒に美容室に留め置かれたように、心臓がバクバクする。

音の攻撃が、心底怖い。

 

そんな描写に、この状況を生きてきた人の"生(なま)”が感じられ

その重みと意味を噛みしめました。

 

★6/23(土)からアップリンク渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次公開。

「ガザの美容室」公式サイト

コメント
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