よくここまで見せてくれたなあ!と驚き。
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「フジコ・ヘミングの時間」74点★★★★
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数奇な運命と苦難ののち、
60代後半で見出された奇跡のピアニスト、フジコ・ヘミング氏。
彼女の初のドキュメンタリー映画です。
想像より、ずっとボリューミーで
その充実度に驚きつつ、堪能いたしました。
日本人ピアニストの母と
スウェーデン人デザイナーで建築家だった父の間に生まれた彼女の生い立ち、
幼少時代の戦争体験から、少女時代の絵日記(上手!)、
留学時代、そして現在の暮らしーーと
年齢非公表な彼女の、年齢も判読できるくらい、
時代を追った詳細な描写で
パーソナルな部分に迫ってます。
しかも
「苦難の人生!」にドラマチックにフォーカスするのでなく
パリの自宅で猫と暮らす日々、思うこと、その語りから
自然と、その人生と哲学に触れられるような作りが、
おだやかで優しくて気持ちいい。
パリだけじゃなく
下北沢、カリフォルニア、ベルリン、京都と世界に点在する自宅まで公開され
そのインテリアのすてきなこと!猫たちの可愛らしいこと!
こんなに見せてもらっちゃっていいのかしら、というほどです。
もちろん、演奏シーンもたくさんあって
情感溢れるその演奏が
映し出される彼女の人生の歩みと相まって、より琴線に触れてきました。
(ワシは断然ドビュッシーの「月の光」が好き。)
1964年生まれの小松莊一良監督は
2年間、世界中をまわり、フジコさんを追いかけたそう。
おなじみ「AERA」の取材でお二人にお目にかかりましたが、
信頼関係めちゃくちゃ深くて、うらやましいほどでした。
いま発売中のAERAにフジコ・ヘミングさんインタビュー、記事が載っています。
dotでも読めますので
映画と併せてぜひ~
★6/16(土)からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。