タイトルは「性差を超えた闘い」の意味です。
セクシーおねえちゃんの話ではありません。
「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」70点★★★★
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1973年。全米女子テニスチャンピオンのビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)は
怒りに燃えていた。
全米テニス協会が提示した女子の賞金金額が
男子の8分の1だったのだ!
抗議が受け入れられず、彼女は試合をボイコットすることを決める。
さらに彼女は、女子選手たちを集めて「女子テニス協会」を立ち上げ
「バージニアスリム選手権」の開催にこぎ着ける。
そんななか
元男子チャンピオンのボビー・リッグス(スティーブ・カレル)から
ビリー・ジーンに電話が入る。
「そんなに男子と女子が平等だというなら
いっちょ、試合をやろうじゃないか」
最初は相手にしていなかったビリー・ジーンだったが――?!
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「リトル・ミス・サンシャイン」(名作!)の夫婦監督が
45年前にあった実話を描いた作品。
驚くほど今日的な問題がジャストに詰まってます。
1973年、男女の賞金格差に異を唱え、
是正のために立ち上がったビリー・ジーン・キング。
その彼女に、ボビー・リッグスが
「男子と女子が平等だ、っつうなら、試合で勝負しようぜ!」と
まあパフォーマンス度100%で絡んでくる。
最初はアホくさ、と相手にしてなかったビリー・ジーンだったけれど
いろんな事情で、放置できなくなり
世紀の「男女のテニス対決」が行われる。
その試合の行方は――?もドキドキなんですが
しかし、この話、単なる「テニスの試合」の話ではなく
そこにビリー・ジーンのセクシャリティの問題が絡んでくるのが
大きなポイント。
当時、夫のいた彼女は、ある女性に惹かれ、その状況に戸惑いつつ
「本当の自分」を見つけていく。
そして夫と離婚し、1981年にレズビアンであることを公表するんですね。
ビリー・ジーン・キングのことも、この試合のことも
まったく知らなかったので
男女差別のタイムリーさに驚いて見ていたら、
え?次はLGBT問題か?!と、思いがけぬ多層構造に驚いてしまった。
ここがキモでもあるんだけど、この部分が吉と出るか、苦手と出るか、
正直、分かれそうではある。
おなじみ「AERA」で
監督ご夫婦にインタビューさせていただいたところ
セクシャリティの部分は、ビリー・ジーン本人が
「ぜひ、書いて!」と言ったのだそう。
セクシャリティに悩む人はまだまだいる。
特に若い人の助けになれば――と。
(掲載はちょっと先、7/14発売号です~)
現在74歳のビリー・ジーン・キングは社会活動家でもあり
オバマ前大統領から、勲章も授与している。
そんなスゴイ彼女の最初の一歩として、物語を追うのもおもしろい。
ボビー役のスティーブ・カレルは
またもカメレオンぶりを発揮し
(この人の声のデカさにはいつもながら辟易するんですけどね……)
それにビリー・ジーンを演じるエマ・ストーンの精神力あるプレイヤーぶり!
「ラ・ラ・ランド」よりも、一皮むけた気がしました。
★7/6(金)から全国で公開。