88歳、映画のレジェンド健在なり!
「運び屋」79点★★★★
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もうすぐ90歳になる退役軍人アール(クリント・イーストウッド)は
ユリの栽培家だ。
品評会でも優勝するほど知られた彼だったが
最近は売り上げが落ち込み
ついに自宅と農園を差し押さえられてしまう。
しかも家庭をないがしろにしてきたツケで
妻と娘からも距離を置かれ、帰る場所がない。
そんなアールに、ある仕事が舞い込む。
「ある場所からある場所へ、安全に車の運転さえすれば、大金が入る」
これまでユリの営業で全米を運転してきたアールは
なんなく仕事をこなす。
だが、彼の車に積まれていたのは
麻薬ドラッグだった――!
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クリント・イーストウッド監督が
仰天の実話を基に描いた作品。
それにしても
人生の円熟期からの「グラン・トリノ」(08年)、
そして「アメリカン・スナイパー」(14年)、最近では「15時17分、パリ行き」(18年)と
コンスタントに高レベルの作品を発表してるけど
イーストウッド監督も、もう88歳。
正直、最近は毎回「もう、超えてこないかもな」と思いつつ、観るんです。
でも、
超えてくるんですねえ!
歳を重ねても、これだけおもしろいものを作り続けられるって、
本当に神。
そんな監督ばかりじゃないですよ、稀有ですよ。
で、本作は
「麻薬の運び屋」という題材はシビアっぽいけど
主人公である90歳のアールじいさんのトボけた味わい
そして退役軍人ならではのクソ度胸のよさ(笑)を
監督自身が「ヨボ芸」も駆使してうまく表してる。
そう、ちょっと「グラン・トリノ」に通じる感じがあって、いいんですわー。
さらに、アールを追う立場になる
麻薬捜査官(ブラッドリー・クーパー)の
派手に手柄を立てたいけど、微妙にハズしてるんだよね~というキャラの立て方も見事。
で、アールが無自覚に
そんなしゃかりき捜査官の裏をかいている――というあたりが
たまらなくおかしいんですね。
アールがやっていることはもちろん悪事。なんだけど
監督は観る人の罪悪感をフッとよけながら、
後ろめたさを感じさせないあんばいで
物語をうまく運んでいく。
と同時に
観る人がアールじいさんに肩入れすればするほど
展開にハラハラドキドキが増してゆく、という。
まさに
映画を知り尽くしたレジェンドの技を堪能!という感じでした。
次も、その次も
まだまだ本気で楽しみにさせてくれる監督。ホントすごいなあ。
★3/8(金)から全国で公開。