ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

サンセット

2019-03-15 22:46:05 | さ行

 

「サウルの息子」(16年)監督の新作です。

 

「サンセット」70点★★★★

 

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1913年、ブダペスト。

 

ある高級帽子店に

イリス(ユリ・ヤカブ)が働きたいとやってくる。

 

海外で帽子作りを学んだイリスが持参した作品は

なかなかのものだったが

が、実はその帽子店は

イリスが2歳のときに、亡くなった両親が遺したものだった。

 

自分のルーツを探していたイリスだが

現在のオーナであるブリル(ブラド・イヴァノフ)は

突然現れたイリスに戸惑い、追い返してしまう。

 

そんなイリスに

両親の時代を知る人々が、謎めいたヒントを与える。

 

そして、自分に兄がいることを知ったイリスは

過去を知るべく、動き出す。

そこには、帽子店の抱える大きな闇があった――。

 

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「サウルの息子」ネメシュ・ラースロー監督作品。

 

1913年、ハンガリーのある帽子店を舞台に、

ヒロインが亡き両親と、自分を探すうちに

忌まわしき出来事を知ってゆく――というお話で

 

兄の行方、そして両親の死の真相を知るべく

あちこちをさまようヒロインの背中を

「じーっ」と追う手法や、

不安定な世情と、その騒乱のなかに観客をいざない、投じる方法も

「サウルの息子」につながるものがあると感じます。

 

 

さまようヒロインの背中は、何を追いかけ、何を探すのか――?

その手法はミステリアスで引き込まれるんですが、

 

出てくる人々が誰もが謎を含み、

かつ、誰もがハッキリと答えない、という

じれったさが募りに募る。

しかも、142分ありますからね(苦笑)。

 

おそらく両親の時代からその帽子屋は「負の顔」を持っていて

兄は、その事実にがまんできず、

反旗を翻す立場に身を投じたのでしょう。

 

そしてイリスが探し求める“兄”は

組織のアイコンとして「存在」はしてるけど

もう死んでるのかもしれない。

 

ヒロインの後ろ姿についていきながら

そんなもろもろ推測させ、たしかにあった「過去」に思いを巡らせる。

それこそが

監督の意図なのだと思います。

 

★3/15(金)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開。

「サンセット」公式サイト

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