フランスの「マジ、大変なんす!」な
教育現場を描いた作品は近年多いけど
本作は「教師側の問題」に踏み込んでるところが、新しい。
「12か月の未来図」72点★★★★
************************************
フランスの名門高校で国語を教える
ベテラン教師フランソワ・フーコー(ドゥニ・ポダリデス)は
ひょんなことから、校外の“問題校”に派遣されることになる。
そこでフランソワが目にしたのは
教師への敬意などゼロ。授業中も大声でしゃべくり倒す生徒たちと
なにより
「問題児は退学させればいい」とする教師たちの意欲のなさだった。
そんななか、フランソワは
生徒たちをやる気にさせる一計を案じるのだが―?!
************************************
フランスの教育現場の大変さを描いた作品は
ここ数年、本当に増えている。
「小さな哲学者たち」(11年)、「バベルの学校」(15年)、
そして「奇跡の教室」(16年)
「オーケストラ・クラス」(18年)などなど。
観ると「教師ってどんだけ、大変なんだ!」と思いもするけど(笑)
本作は「教師側の事情」に踏み込んだところ、
そしてフィクションなのに「輝く劇的な展開!」と、ならないところに、
また新しいリアルを見る作品でした。
ズームの多様など、ドキュメンタリーさが意識されているところも、また味というか。
パリ暮らし、エリート一家で育った
教師フランソワ・フーコー(ドゥニ・ポダリデス)が、
ひょんなことから郊外の問題校に赴任することに。
しょっぱなからその「特権意識」を隠すこともしない
彼の心象が正直に描かれ、そこにまずドキリ、チクリ
、とする。
重厚&歴史的景観のパリ市内を一歩出ると、
移民や外国人が行き交う
高層アパート立ち並ぶ地域になり
彼がまあ~怪訝な顔になったりするわけです(笑)
教室の子どもたちもまあ多彩で。
いや、しかし、そんななかで
最初こそ戸惑っていたフランソワは
次第に「自分の利益」とかとは関係なく
真剣に、そこにいる子どもたちに向き合っていく。
そして、その姿は
「問題は生徒だけにあるのではないのだ!」という事実を明らかにもしていく。
そう、こうした問題校に派遣される若い教師は
疲弊し、
「何をやっても無駄」と、投げやりに、事なかれにもなっているわけですね。
そんな状況をフランソワはどうするのか――!?
というお話。
フランソワの動機にあるのが、どんな相手であり
あくまでも、「学びとは何か」という原点と
使命感によるものなのだ、と感じられるところがいい。
加えて、彼がルックス的には冴えず(すみませーん。笑)
ゆえに、彼自身のぎこちない
恋のさや当てが、映画に盛り込まれているところも、いいかもなーと。
「先生たちにだって、いろいろあるんです!」ってね。
なにより、いわゆる“問題児”に対して
「悪い生徒はいない。生徒を信じれば学力はあがる」とする、指導者の懐深さ。
それが“きれいごと”ではないと感じさせるリアルがあるのは
監督自身が2年間、中学校に通い取材した成果でしょうね。
★4/6(土)から岩波ホールほか全国順次公開。