「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(16年)のルーカス・ヘッジズ、
出演作が続きます。
「ある少年の告白」71点★★★★
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アメリカの、ある田舎町。
大学生のジャレッド(ルーカス・ヘッジズ)は
牧師の父(ラッセル・クロウ)と優しい母(ニコール・キッドマン)に愛され
なに不自由なく育った。
大学の寮で、ある経験をしたジャレッドは
自分が男性が好きだということに気づく。
しかし、両親にそのことを告白すると、
父は牧師仲間らの助言で、彼をある場所へと連れて行く。
それは「同性愛を治す」矯正施設だった――。
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「同性愛を治す」矯正プログラムに参加させられた
アメリカの少年の実体験を描いた作品です。
その「矯正施設」とは
人権侵害も甚だしく、
かつ人格否定によって入所者を追い詰め、
自殺者まで出すような最悪の場所なんですが
これ
2016年発表の実話が基。
事が起こったのは04年ですが、
プレス資料によると、いまも約70万人がこの矯正治療を経験し、
うち35万人が青年のうちに受けているそう。
ごく最近の話なわけです。
いまも
先進国でも都市部と地方で
LGBTを取り巻く状況にはまだまだ厳しいものがある・・・・・・とは聞いていたし、
わかっていたつもりだけど、
こんな人権蹂躙が、いまの時代も続いているとは!、と
そして特に親の庇護下にある若者にとって
いまだ、これが現実なのか?と
改めて、矢で貫かれた感じです。
彼の場合は、母親が意思を持ち、立ち上がったことで救われるし
現在の彼らの姿に、希望はあるんですが
しかし、ホントに
LGBTをめぐる周囲の認識の現状ってどうなんだろう、と思ってしまう。
例えば、先日試写で観た
NYでシングルファザーの父と暮らす10代のヒロインは、
ごく自然に「彼女」を作るんだけど
父親が心配するのは相手の性別なんぞではなく
「遅くなるなら、ちゃんと連絡しろ!」とか、そういうことなんですよね。
あと、真人間なのか、ってこと。
相手が“彼女”であることはふつうにスルー(笑)
まあこの話はフィクションですが
作ってる人がこう描き、観客もそれを受け止めてるから
こういう映画ができるんだと思うんです。
で、
それがフツーだと、ワシも思ってたんですが
こんな「矯正施設」なんて話に出会うと、
しかも最近の話ときくと
まてよ、と思う。
結局は、やっぱり当事者の家族・社会も含め
受け止める側の「人間力」、「懐の深さ」が頼りなのかなあ、と。
考えさせられるのでありました。
★4/19(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。