ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

芳華

2019-04-13 23:29:36 | は行

1970年代からの中国変動を織り込んだ

みずみずしい青春ドラマ!

 

「芳華」72点★★★★

 

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1976年、17歳の少女シャオピン(ミャオ・ミャオ)は

踊りの才能を認められ、

名誉ある軍の舞踊班「文芸工作団(文工団)」に入団する。

 

田舎出のシャオピンは、同級生たちのイジメにも遭うけれど

面倒見のよい“模範的”青年リウ・フォン(ホアン・シュエン)が

何かと世話を焼いてくれる。

 

シャオピンはリウ・フォンに淡い想いを抱くが、

彼は文工団のスター歌手、ディンディン(ヤン・ツァイユー)に想いを寄せていた。

 

そして同年、毛沢東が死去。

 

社会は騒然とし、文工団の公演も中止になる。

そして、ひたひたと近づく新たな時代の波に

団員の若者たちの運命も、翻弄されることになる――。

 

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1970年代からの中国近代史を描く一大叙事詩であり、

かつみずみずしい青春ドラマで

135分を飽きさせず、するすると見てしまいました。

 

 

文革時代、軍のなかで歌や踊りを担当する部署「文工団」に所属した

若き少年少女たちの日々。

その輝きのまぶしさ、すれ違う男女の想い、

そして壮絶な戦火のなかでの運命、さらにその後――が描かれます。

 

最初は登場人物の顔と名前がなかなか一致しなくて

苦労もしたんですが、

慣れてくると、激動の、しかもごく最近の歴史を生きた

 市井の人々のドラマチックな物語にハマるんですねえ。

(だって1976年から95年って、めちゃくちゃ同時代の話だけど

中国のこんな状況、当時は全然知らなかったもの!)

 

1958年生まれのフォン・シャオガン監督は

自身も「文工団」に所属した経験を持っている。

その時代に想ったある人、ある出来事を

ずっと描きたいと思っていたそうで

 

うん、その甘酸っぱい想い、映像のみずみずしさが

ものすごく伝わってくる。

時代や状況は違っても、誰もにある青春の日を

懐かしく思い出させるだろうなと感じました。

 

★4/12(金)から新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。

「芳華」公式サイト

コメント
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