ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

帰れない二人

2019-09-08 18:41:06 | か行

ジャ・ジャンクー監督の新作です。

 

「帰れない二人」72点★★★★

 

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2001年、中国山西省の大同(ダートン)。

麻雀客でごった返す遊技場をみまわるチャオ(チャオ・タオ)は

みなに一目おかれる「姐さん」的存在だ。

 

恋人のヤクザ者ビン(ガオ・ビン)と一帯を仕切る二人は

仲間と兄弟の契りの酒を酌み交わし、

義理人情を重んじる「江湖(こうこ)」と呼ばれる渡世人だった。

 

だが、大同一帯も開発が進み、

彼らも時代の変化を感じ始めていた。

 

そんなときビンが若い連中に襲われる。

ビンをかばい、チャオは刑務所に入ることに。

 

5年後、チャオが出所すると

さまざまなことが、大きく変化していた――。

 

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2001年から2018年の中国の山間の山西省を舞台に

移ろいゆく風景と、人の心を描いた作品です。

 

いわゆる渡世人である男女を描いているけれど

ノワールやバイオレンスではなく

あくまでもゆったりと

どこかおおらかで悠久の時を感じさせるのが

さすがジャ・ジャンクー監督!

 

 

時間とともに、国も変わり、社会も変わり、

そして人の心も変わる。

 

そんな「移ろいゆくもの」がここには映っている。

 

その変化のなかで、したたかに

たくましく生き延びるヒロインの、まあハッタリのうまいことに笑ってしまう(笑)

 

 

「四川のうた」(08年)「山河ノスタルジア」(15年)など

ジャ・ジャンクー作品の常連であり

ミューズであるチャオ・タオが

17年の変化を

憂いとチャーミングさ、バイタリティーをもって演じていて素敵でした。

 

この映画では若い頃は余貴美子さんに似てて、

だんだんちょっと西原理恵子氏に似てくるんだよね・・・・・・(笑)

 

9/9(月)発売の「AERA」いま観るシネマで

ジャ・ジャンクー監督にインタビューをさせていただきました~

男女のもろもろを描いても

どこか「時の流れ」を感じさせる、独特な映像作りの秘密も聞いちゃいました。

併記の「もう1本」とあわせてぜひご一読くださいませ~

 

★9/6(金)からBunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

「帰れない二人」公式サイト

コメント
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