ジャ・ジャンクー監督の新作です。
「帰れない二人」72点★★★★
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2001年、中国山西省の大同(ダートン)。
麻雀客でごった返す遊技場をみまわるチャオ(チャオ・タオ)は
みなに一目おかれる「姐さん」的存在だ。
恋人のヤクザ者ビン(ガオ・ビン)と一帯を仕切る二人は
仲間と兄弟の契りの酒を酌み交わし、
義理人情を重んじる「江湖(こうこ)」と呼ばれる渡世人だった。
だが、大同一帯も開発が進み、
彼らも時代の変化を感じ始めていた。
そんなときビンが若い連中に襲われる。
ビンをかばい、チャオは刑務所に入ることに。
5年後、チャオが出所すると
さまざまなことが、大きく変化していた――。
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2001年から2018年の中国の山間の山西省を舞台に
移ろいゆく風景と、人の心を描いた作品です。
いわゆる渡世人である男女を描いているけれど
ノワールやバイオレンスではなく
あくまでもゆったりと
どこかおおらかで悠久の時を感じさせるのが
さすがジャ・ジャンクー監督!
時間とともに、国も変わり、社会も変わり、
そして人の心も変わる。
そんな「移ろいゆくもの」がここには映っている。
その変化のなかで、したたかに
たくましく生き延びるヒロインの、まあハッタリのうまいことに笑ってしまう(笑)
「四川のうた」(08年)「山河ノスタルジア」(15年)など
ジャ・ジャンクー作品の常連であり
ミューズであるチャオ・タオが
17年の変化を
憂いとチャーミングさ、バイタリティーをもって演じていて素敵でした。
この映画では若い頃は余貴美子さんに似てて、
だんだんちょっと西原理恵子氏に似てくるんだよね・・・・・・(笑)
9/9(月)発売の「AERA」いま観るシネマで
ジャ・ジャンクー監督にインタビューをさせていただきました~
男女のもろもろを描いても
どこか「時の流れ」を感じさせる、独特な映像作りの秘密も聞いちゃいました。
併記の「もう1本」とあわせてぜひご一読くださいませ~
★9/6(金)からBunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。