ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

真実

2019-10-08 23:34:33 | さ行

大女優を前にしても臆せずに、是枝流を貫いた。

 

「真実」75点★★★★

 

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パリの瀟洒な自宅に暮らす

女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は

気ままで不遜

しかし、いまも出演依頼が絶えない国民的女優だ。

 

そんな彼女のもとに

ニューヨークに暮らす脚本家の娘(ジュリエット・ビノシュ)が

夫(イーサン・ホーク)と

7歳の娘を連れて帰ってくる。

 

母との折り合いがイマイチな娘がわざわざ帰ってきたのは

ファビエンヌが出版した自伝『真実』のお祝いのためだった。

 

だが、内容を知らされていなかった娘は

本を読み、母に詰め寄る。

「どこが『真実』なの? ウソばっかり!」

 

その自伝は

家族の歴史、関わり、ほころびまでもを明らかにしてゆき――?!

 

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いま海外監督が「好き!」「注目してる」とその名前を挙げる

ナンバーワンといえば、是枝裕和監督。

 

初の国際共同製作&豪華キャストにも臆することなく

「是枝流」を貫いた

そこにまず「お見事!」と言いたいです。

 

それができるのって、諏訪敦彦監督くらいじゃないかなー。

 

カトリーヌ・ドヌーヴ×ジュリエット・ビノシュの力合戦を

なんでもない「家族ドラマ」として楽しめる、

極上のシネマになっている。

 

 

一番近い感じは

「歩いても 歩いても」(08年)、

「海よりもまだ深く」(16年)

 

本作では

ドヌーヴを樹木希林さん的役割にしたのかな、と感じるんですよねえ。

 

“女優”であることが全ての母と、

そんな母を見て育ってきた娘。

 

不遜な大女優は最近のドヌーヴのハマり役だけど

ここまで愛情深く見守れるのは、是枝マジックかも。

 

笑いどころも多かったし

 

なにより

毒舌で暴走しがちな母親を

うんざり&ヒヤヒヤしつつ見る娘ジュリエット・ビノシュに

めちゃくちゃ共感してしまった。

ああ、うちの母もそうなんです!って(笑)

 

「家族」という最小単位のドラマ、

日常に立ち現れる人間の感情の描写、

そのすくい方の絶妙さが万国共通なところも

「是枝」ブランドが世界に受け入れられる理由なのでしょうね。

 

 

子役使いも変わらず見事だし、

もちろんビノシュも素晴らしく、

それにね、あえて影薄めにしてるイーサン・ホークがいいんですよ。

 

それにしても

実際、ドヌーヴ本人も、ああいう人なのか?

そこが気になって仕方ないです(笑)

 

★10/11(金)からTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。

「真実」公式サイト


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