大女優を前にしても臆せずに、是枝流を貫いた。
「真実」75点★★★★
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パリの瀟洒な自宅に暮らす
女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は
気ままで不遜
しかし、いまも出演依頼が絶えない国民的女優だ。
そんな彼女のもとに
ニューヨークに暮らす脚本家の娘(ジュリエット・ビノシュ)が
夫(イーサン・ホーク)と
7歳の娘を連れて帰ってくる。
母との折り合いがイマイチな娘がわざわざ帰ってきたのは
ファビエンヌが出版した自伝『真実』のお祝いのためだった。
だが、内容を知らされていなかった娘は
本を読み、母に詰め寄る。
「どこが『真実』なの? ウソばっかり!」
その自伝は
家族の歴史、関わり、ほころびまでもを明らかにしてゆき――?!
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いま海外監督が「好き!」「注目してる」とその名前を挙げる
ナンバーワンといえば、是枝裕和監督。
初の国際共同製作&豪華キャストにも臆することなく
「是枝流」を貫いた
そこにまず「お見事!」と言いたいです。
それができるのって、諏訪敦彦監督くらいじゃないかなー。
カトリーヌ・ドヌーヴ×ジュリエット・ビノシュの力合戦を
なんでもない「家族ドラマ」として楽しめる、
極上のシネマになっている。
一番近い感じは
「歩いても 歩いても」(08年)、
本作では
ドヌーヴを樹木希林さん的役割にしたのかな、と感じるんですよねえ。
“女優”であることが全ての母と、
そんな母を見て育ってきた娘。
不遜な大女優は最近のドヌーヴのハマり役だけど
ここまで愛情深く見守れるのは、是枝マジックかも。
笑いどころも多かったし
なにより
毒舌で暴走しがちな母親を
うんざり&ヒヤヒヤしつつ見る娘ジュリエット・ビノシュに
めちゃくちゃ共感してしまった。
ああ、うちの母もそうなんです!って(笑)
「家族」という最小単位のドラマ、
日常に立ち現れる人間の感情の描写、
そのすくい方の絶妙さが万国共通なところも
「是枝」ブランドが世界に受け入れられる理由なのでしょうね。
子役使いも変わらず見事だし、
もちろんビノシュも素晴らしく、
それにね、あえて影薄めにしてるイーサン・ホークがいいんですよ。
それにしても
実際、ドヌーヴ本人も、ああいう人なのか?
そこが気になって仕方ないです(笑)
★10/11(金)からTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。
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