これって、ドキュメンタリー?
いやあ、うまく考えたものだ。
「人生タクシー」70点★★★★
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テヘランの街中を行く一台のタクシー。
運転しているのは
世界的に有名なジャファル・パナヒ監督その人だ。
タクシーに乗り込んだ乗客のなかには
監督に気づき「うわお!光栄だ!」と騒ぐ人もいるが
ほとんどの人は気づかない。
そして
ダッシュボードに置かれたカメラが
車内の様子を映し出す。
死刑制度について議論する男女、題材に悩む若き映画監督――
それはイラン社会の問題点を映し出すようでもあり――。
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イランで映画製作を禁止されていながら
「これは映画ではない」
など発表し続けている
ジャファル・パナヒ監督の新作。
本人がなんとタクシー運転手に扮し
さまざまな人々を乗せていく・・・という展開で
一瞬「え?ドキュメンタリー?」とも思っちゃうんですが
いやいや、これはうまーく考えられたフィクションでしょう。
うまい手を考えたものだなあとにんまりします。
まずおもしろいなと思ったのは
イランの「乗り合いタクシー」という習慣。
客が乗っていても、人は手をあげてタクシーを止めるし
乗れるだけ、どんどん乗ってくる(笑)
これが向こうでは普通なんでしょうねえ。
と、ここで学んでおいたら
アスガー・ファルハディ監督の「セールスマン」(6/10公開)を見て
やっぱり自然に“乗り合いタクシー”の1シーンが出てきて
すっごく状況がわかった(笑)
すんません、話が横道にそれましたが
というわけで、いろんな人が乗ってくるタクシーを舞台にし、
監督自身が乗客の話を聞いたり、
乗客同士が議論することで
イランの問題が浮かび上がってくる、という構造です。
「アイデア賞!」と思うけど
映画としては車内の固定カメラがメインで
(携帯や姪っ子のカメラなどで、うまくつないでいるけどね)
ちょっと単調ではある。
あと
おしゃべりな監督の姪っ子(ホンモノではないでしょう。笑)をはじめ、
とにかく女性たちがよくしゃべるので
若干、うんざり気味に(苦笑)
でもね、ラストがうまいんですよ。
車上荒らしと見せかけて
「メモリーカードは?」と探している男たちの図は
当局への強烈な皮肉だと思います。
★4/15(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開。
「人生タクシー」公式サイト
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