ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

オーケストラ・クラス

2018-08-16 02:14:42 | あ行

 

いつもながらフランスの学校の

てんやわんやぶりにはゾゾ~ッとするんですけどね(笑)

 

「オーケストラ・クラス」72点★★★★

 

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パリ19区。

アフリカ系やアジア系など多様な移民の子どもたちが通う小学校に

バイオリニストのシモン(カド・メラッド)がバイオリンを教えにやってくる。

 

プロの仕事にあぶれ、渋々やってきたシモンは

想像以上にやんちゃな子どもたちの洗礼を受け、自信喪失。

 

暗澹たる気持ちになるシモンだが

あるとき、彼が模範として演奏をしてみると

子どもたちは静まりかえる。

 

さらにシモンは、ある少年に

才能の萌芽を見出すのだが――?!

 

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パリ19区の小学校に音楽を教えに来たバイオリニスト。

しかし、子どもたちは想像以上に暴れん坊で、前途多難すぎる――!というストーリー。

「パリ20区、僕たちのクラス」(10年)

「バベルの学校」(15年)、そして

「奇跡の教室」(16年)

 

散々、フランスの学校のてんやわんやぶりを見せられてきましたので

さすがに、もう慣れっこ……というわけには、全然、いきませんわ!(笑)

 

移民の多いこの地区は、

異なる背景を持つ親たちの主張も入り交じる難しい地域なんですよね。

 

そんななかで

実際にフィルハーモニー・ド・パリによって行われている

子どもたちへの音楽教育プログラムにインスピレーションを得て作られた物語だそう。

 

いやあ、口八丁な子どもたちにげんなりしつつも(苦笑)

この映画、

想像以上に、聴き手(観客)の心にダイレクトに響く。

 

それは

ことさらな事件を起こさず、極力シンプルに

「音」が人の、子どもの心に響いたり、

その心を動かしたりする様をストレートに描いたからなんですよね。

 

一番わかりやすいのが

騒がしく収集つかない子どもたちの前で、

バイオリニストの主人公シモンが、静かに演奏をはじめるシーン。

 

その音色に、子どもたちが「シーン・・・・・・」と釘付けになる。

 

実際、その音色には

観客の動きも止めてしまうような「ハッ」と感があって

演出というより、子どもたちは本当にシーンとしたんだろうな・・・・・・と思える。

 

そんなストレートさが、こちらの心も震わせるんです。

 

しかも実際、出演している子どもたちは

ほとんど楽器を演奏したことのない少年少女だというんですから

 

うーん、リアリティある!

 

そして、最初はそんな子どもたちに戸惑い、

「ダメな子」「できない子」を排除しようとするシモン自身が、

しかし、そこからどう変化するのか、も見どころ。

大人もまた子どもに教わり、成長してゆくのだ、とシンプルに感じられました。

 

パリの街を見下ろす「屋上のバイオリン弾き」となる

才能ある少年アーノルドのシーンも素敵だったなー。

彼は実際、バイオリンの才能があるようですよ。

ああ、若いって、可能性があるって、いいね!

 

★8/18(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。

「オーケストラ・クラス」公式サイト


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