ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ずっとあなたを愛してる

2009-12-11 17:13:12 | さ行
今日、スピルバーグ製作総指揮×
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督の
「ラブリーボーン」(2010年1/26公開)見てきました。

いやーすごい問題作。

明日11日に全米公開だそうなので
一応、それを待って紹介することにしよ。

ちょっと咀嚼もしたいしね…

って思わせぶりに振っといて
今日の映画は



「ずっとあなたを愛してる」75点★★★

このチラシも、ちょっとビジュアル怖いよね。
タイトルも紛らわしいよね。
「ずっとあなたが好きだった」?あったあった。
惜しいなあ。


でもいい映画です。


現代フランスを代表する小説家
フィリップ・クロデールの初監督作品。

印象的なのがファーストシーン。
えらく疲れた顔をした女性が
たばこをふかしている。

場所がどこかの説明すらない中で
やがて若い女性が、彼女を迎えにやってくる。

母娘かと思うほどに、二人の生命力の対比は明確。

でもやがて二人が姉妹であることや

姉が15年も刑務所にいたこと、
そして重い過去と傷を背負っていることがわかる…という展開。


説明は最小限、
画面にも、人や家族の距離感にも
余白の美しさが際立つ
フランスらしい作品でした。

心に傷を負った人が
少しずつ下界になじんでいく様子を
これほど鮮明に繊細に描いた作品は初めてな気がする。


一枚一枚ベールをはぐように明らかになる姉の過去も
全体はテンポよく、要所はじっくりという
緩急ある演出でうまく見せていくし


出てくる人々みんなに味があり
暗い話なのに鑑賞後感が
悪くないのがいい。


なによりも
冒頭、チラリと画面に映る妹の家の鏡に
飛まつが飛んでいる様子が

この映画のリアリズムを象徴していました。


★12/26から銀座テアトルシネマほか全国順次公開。

「ずっとあなたを愛してる」公式サイト
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ブルー・ゴールド 狙われた水の真実

2009-12-10 12:34:11 | は行
ジョニー・デップ、来日してますね。



「パブリック・エネミーズ」のPR来日なのに
「実は映画見てない」とか言ってるんですって?(笑)

記者会見レポートしようかなーと思ったんですが
なんかね
写真撮影と、会見が別だったんですよ。
撮影すると、会見に出られないという。

ときどきあるんだよなー。

まあいまの番長みたいなミーハー対策には
いいかもしれないけど
フォトジャーナリストとか、どうするんだろ?

番長も、写真撮って記事載せてたころだったら
憤怒するだろーなー。



で、今日の映画。



「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」40点★

うっ久々にダメパターンの
ドキュメンタリーを見てしまった・・・

テーマはすっごく大事なんですけどね。


ふだん我々が何気なく飲んでいる
ミネラルウォーター。

これが本当は人類の共有財産であるって意識、
けっこう忘れがちです。


実際に開発途上国では
水企業がうまいことやってこの水を独占してしまう。

すると地元民たちには泥水、雨水しか手に入らず
本来彼らのものであるはずの水は
ボトルにつまった金塊のごとく
水企業に莫大な富を与える、という事実を描いた告発映画。


少しでも意識を高めよう!と思って見たのですが

識者や活動家のインタビューを順繰りにつないだだけの
構成が単調。

バックに流れるコンピューターミュージック
(ピコピコと抑揚なく続く電子音)が単調。

恐ろしいほどの睡魔に襲われました。
で、撃沈。


これって昔学校で見せられたような
“魅せる”ことなんて意識もしていないような
教育ドキュメンタリーのパターンですよ。

ただおもしろかったのは
水問題は非常に身近なテーマゆえか
声をあげている活動家に若者が多いんですね。


特に6歳の少年が始めた
清涼飲料水の不買キャンペーンなんて
へえーと興味深かった。

みんながみんなマイケル・ムーアになれとは言いませんが
もうちょっと工夫してほしい
残念な映画でした。

がんばれ!


★2010年1/16から渋谷アップリンクほか全順次公開。

「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」公式サイト
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あご割れと宣伝

2009-12-09 12:22:52 | ぽつったー(ぽつおのつぶやき)
エミリー・ブラントあご割れ写真・・・



どうですか?

すいませんいぢわるして。

あと宣伝

いま発売中のAERAに
番長の「牛の鈴音」監督&プロデューサー
インタビュー記事載ってます。

いい映画です。
ヨロシク
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ヴィクトリア女王 世紀の愛

2009-12-08 11:48:03 | は行
“世紀の愛”。すごいタイトル・・・

「ヴィクトリア女王 世紀の愛」68点★★☆


19世紀、イギリスを最強の国家に押し上げた
ヴィクトリア女王と夫アルバート公のロマンスを描く時代劇です。


といっても、いったいどのへんの時代の人なのか
番長にはチンプンカンプン。

えーと、調べてみると
ケイト・ブランシェットが演じた「エリザベス」は1533年生まれ。

この人は1819年生まれだから
だいぶあとの人ですね。テヘッ


この人が在位した“ヴィクトリア王朝”というのは
イギリスが最も繁栄した黄金期だそうで

画家のターナーやミレー、演劇のオスカー・ワイルド
「クリスマスキャロル」の作家チャールズ・ディケンズなどを輩出してます。


で、映画のキモは
実際に“世紀のカップル”と語り継がれる
女王と夫・アルバート公の仲の良さ。


英国王室話というと、とかくドロッドロなイメージがありますが
これはごく善良な男女のカップルによる
極めて爽やかなラブストーリーになってます。


まあ女王が18歳で即位するまでは権力争いもあり

そもそもアルバート公だって
ベルギーがイギリスを思い通りにするために
20年も前から画策した計画だった、なんて
「怖っ」な重みはあるけれど

二人が出会ってからはムードよく

アルバート公のアドバイスを取り入れて
二人で国をよくしていった、というような話や

女王へのプロポーズは禁止されているので
ヴィクトリアから彼に申し込んだなど
「へえ~」もいっぱい。

クリスマスシーズンに悪くない
“いい夫婦の話”です。


ただキャストがちょっと地味かなあ。

アルバート公役のルパート・フレンドは
そこそこハンサムだけど

女王役のエミリー・ブラントの
(「プラダを着た悪魔」でアン・ハサウェイの先輩役だった人)
あご割れが許容できないと
せっかくのラブに入り込めないかも・・・


★12/26からBunkamura ル シネマ、TOHOシネマズシャンテほか
全国順次公開。

「ヴィクトリア女王 世紀の愛」公式サイト
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ニューヨーク、アイラブユー

2009-12-07 09:17:26 | な行
週末、ずっと原稿書きでつまんなかったので
夜、ふらっと表参道イルミ見に行ってきました。

キレ~




んで、今回はこちら。



「ニューヨーク、アイラブユー」83点★★★


ニューヨークの街ゆく人々の1シーンを切り取ったような
雑記的オムニバス映画。


写真集を見ているようで
実に番長好みの映画でした。


街を歩きながら、
すれ違う人や、カフェに座ってる人を観察して
「それぞれにいろんなストーリーがあるんだ」と
ほくそ笑んでしまうようなタイプのかたにオススメです。


チャイナタウンで見かけた女性に
モデルを頼む画家、

プロム(卒業パーティー)に
車いすの美女を連れていくことになった青年・・・などなど

様々な11のエピソードが描かれます。


多くの人種が集まるニューヨークらしく
出てくる人も多彩。


短いものはほんとに3分くらいですが

全体の印象が統一されていて
各話のつなぎもスムーズなので
実は最後まで全部1人の監督が作ったのかと思って見てた。


実際はイヴァン・アタルや岩井俊二監督ら
10人の著名監督が作ってました。
(なかには女優のナタリー・ポートマン監督作もある!)

見終わって好きだった短編が「へぇ、この人が作ったんだ」と
振り返るのも一興でした。


ちなみに番長はアンソニー・ミンゲラ脚本の一遍と
岩井俊二監督作、
あとジョシュア・カーストン監督の老夫婦の話が好きでした。


出演俳優もオーランド・ブルーム、アンディ・ガルシアなど
あげればきりないほど大物揃い。


コンセプトはパリを舞台に諏訪敦彦監督らが撮った
「パリ・ジュテーム」と同じですが

でも印象はけっこう違う。
あちらより一話一話が濃くないし
サクッと乾いてる感じですね。

街の違いによるものかな。

どちらが好みかは見る人次第かも。

ヒマな夜、一人でゆっくり楽しみたい映画です。
音楽もよかった。

ちなみにエンドロールでnextの街名が出ていたんだけど
シンガポール?上海?
Sで始まってたのは確かなんですが
見逃しちゃった。

今度聞いておこう・・・。


★2010年2月からTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル シネマほか全国で公開。

「ニューヨーク、アイラブユー」公式サイト
コメント (3)
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