ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

サヨナライツカ

2010-01-13 23:38:47 | さ行
すいません
新年早々、今年のワースト1が決まりそうです・・・


「サヨナライツカ」20点☆


旦那(辻仁成)が原作、妻(中山美穂)が主演の
恋愛映画ってどんなだろうと
つい興味を持っちゃったんですが・・・

・・・死にました。


1975年のタイ、バンコク。
現地に赴任してきた若きエリート・豊(西島秀俊)は
美しく奔放な沓子(中山美穂)に出会い
恋に落ちる。

しかし豊には日本に残してきた
婚約者(石田ゆり子)がいた――


お話は「ハア?」って感じです。
でも番長、恋愛小説は読みません。
だから単に体質に合わないのかもしれません。


に、しても。

この上滑りする
子どもの日記みたいな
セリフの応酬はなんなのだ?


全部、カタカナで話しているみたい。

「アイシテイルト、イッテクダサイ」
「キミノアセノニオイガスキ」(キ、キミ?)

あれ?でもこれって
「サヨナライツカ」か?
うわー術にハマった?


監督は「私の頭の中の消しゴム」のイ・ジョハン。
この映画には散々泣かされたけど
今回は、セリフの意味ちゃんとわかってたのかなあ。


映像を相当に美しく撮っているのは認める。
同い年(!)の中山美穂が
濡れ場がんばってるのも認める。
(そのせいで寝ることも出来なかった・・・←これも思うツボか!

でも美しいだけじゃ、ダメなのだー。


日本人の小説を、アメリカ育ちの韓国人監督が
タイで、日本人俳優で撮影するという
チャンプルーな状況は


むちゃくちゃ大変そうだけど
おもしろそうでもあるのに

ぶつかり合うこともなく
なんだかみんながみんな
遠慮し合ってしまったのか


カタコトのまま
どこにも到達できていないのが残念でした。

アジア人同士の共作って難しいよね・・・


★1/23から全国で公開。

「サヨナライツカ」公式サイト
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ハンナ・モンタナ ザ・ムービー

2010-01-09 12:53:44 | は行
歌の力ってやっぱスゴイわー

「ハンナ・モンタナ ザ・ムービー」70点★★☆


ずっと気になっていた
全米大ヒットテレビシリーズの映画版です。


全米のポップスター、ハンナ・モンタナ。
その実態はマイリー(マイリー・サイラス)という
ごくフツーの高校生。

が、人気者になった彼女は
次第に普通の生活をなおざりにするように。

困った父(ビリー・レイ・サイラス)は
彼女を故郷テネシーに連れて帰り
自分を見つめ直すように言う。

そこでマイリーは幼なじみの
トラヴィス(ルーカス・ティル)に恋をして――?

・・・というお話。


なんでハンナ・モンタナはシークレットアイドルなのか?
など経緯の説明なんて一切ないし
不親切っちゃあ不親切。

テネシーの自然の風景
「モンタナの風に抱かれて」のごとく
気持ちいいけれど

映画自体も田舎っぽくて
ドタバタでベタベタ。

でも、やっぱり
歌われちゃうとかないませんわ。

楽しいんだもーん

テネシーの人々は
集まればカントリーミュージックで歌い踊り

ハンナ・モンタナもカントリーをアレンジした
ポップミュージックで歌い踊る。

TDLの「ウェスタンランド」で
遊びまくってるみたいですな、これは。


主演のマイリー・サイラスと父親役のビリー・レイ・サイラスは
なんと実の親子。

お父さんはカントリーミュージックのスーパースターで
娘マイリーは小さいころから
父親の出演するテレビ番組などに出演し
このドラマで大ブレイクしたんだって。

なるほど~
このドラマと現実のリアルなリンクが
ティーンにも大人気なんでしょうな。


ルーツがカントリーミュージックってところも
国民的アイドルになり得る重要な要素かも。


なんだか
「ちゅらさん」を思い出しました。



そうそう試写でサントラをいただいたんですが
コレ、いいわ~
ノリノリで聴いてます。


★2/13から全国で公開。

「ハンナ・モンタナ ザ・ムービー」公式サイト
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交渉人 THE MOVIE

2010-01-06 19:19:35 | か行
テレビシリーズは見たことないんだけど
おもしろかった。


「交渉人 THE MOVIE」73点★★★


あるショッピングモールで
客50数名を人質に現金強奪犯が立てこもる事件が発生。

そして数週間後、
警視庁の交渉人・宇佐木玲子(米倉涼子)が乗り合わせた
飛行機が159人の乗客とともに
ハイジャックされる。

二つの事件をつなぐ謎とはいったい――?


歴代ハイジャックものをいろいろ研究したのか
かなり緊迫感と迫力あるアクション映画でした。


特に機内では
「そこまではやらないだろう」という
乗客と観客の予想を裏切る過激さがあり
ハリウッドアクションに肉薄している感じ。

伏線もきちんと張られてました。


それにしても素晴らしいのは
米倉涼子のガタイのよさ。


肩幅ガッチリ、骨格ガッチリ。
とにかく強靱。
さらに怒りで相手を射貫くような
眼力もバッチリ。


彼女の肉体から出るタフなオーラが
この映画にものすごい説得力をつけているんですねー。


彼女の活躍含め
話にはところどころ暴走の感あれど
意外と贅沢に俳優を使っているし
退屈せずに見ました。


同じテレビ→映画の刑事モノでも
フジ→東宝の「踊る大捜査線」と
テレ朝→東映の本作が
だいぶ違う味なのも興味深かった。


しかし、ふと気づくと

あれ?交渉ってしてたっけ?


★2/11から全国で公開。

「交渉人 THE MOVIE」公式サイト
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アバター

2010-01-05 17:31:41 | あ行
アバター・・・

見ましたよ・・・

2000円もしましたよ・・・(3Dメガネ代込み

それにビールとポップコーンで
二人で6000円の出費ですよ・・・←これは知らんか。


でも、見て損はありませんでした!



75点★★★かな。


舞台は22世紀。

任務中に負傷して車いす生活を送る
元兵士ジェイクは
緑溢れる惑星「パンドラ」で新たな任務を命じられる。

それは
惑星の先住民ナヴィと人間の遺伝子を組み合わせた
“アバター”と呼ばれる肉体と
自らの神経を接続させて(エヴァっぽい~)
自由に操ること。


そしてパンドラにある貴重な鉱石を奪うために
ナヴィを懐柔せよ、というのだ。

アバターの肉体を得たジェイクは
美しいナヴィの娘と出会い
やがて
この惑星の真の重要性を知ることになる。

が、軍はすでに
ナヴィ掃討の強行手段に出ようとしていた――。



見ていて思い浮かんだのは

ベトナム戦争だったり
「もののけ姫」だったり
マイケル・ジャクソンの「アース・ソング」のPVだったり。

話はいつもどおり
人間の身勝手に身もだえする内容でしたが

その世界観とともに、しっかり作ってありました。

人物造形なんかはやや簡略化されていて
ゲームっぽかったけどね。


それにしても
やっぱり映像がすごかったですよ。


一番の見どころは
生命の躍動感と神秘を感じさせる
パンドラの森や自然ですねえ。

想像以上に美しかった!


それに本来CGマンガキャラであるはずの
アバターにもしっかり生命が宿ってました。


またアバターが人間より
サイズがでかいっていう設定がおもしろいよなあ。


3Dもまったく酔わなかったです。


でもこの3Dは
「まるで自分がその場にいるような」感じではないな。

なんというか水族館の水槽
ガラス越しに見ているような感じ。
色調もブルーがかっていたし

すぐ近くに見えて
あいだに分厚いガラスがあるのがハッキリわかる、というような。

臨場感はあるけれど
逆にもどかしさも少々感じました。


“飛び出すビックリ度”では
「クリスマス・キャロル」のほうが上かな。

まあこの3Dメガネって
次第に馴れちゃうのかもしれませんが。

しかしこの展開だと
「2」あるでしょうな、絶対。

あ、メガネは持って帰ってよかったので
次回からは200円引きになるそうです。

やった~←ケチ番長。

え?100円引きなの?
んだよケチ~~!!


★全国で公開中。

「アバター」公式サイト
コメント (8)
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サベイランス

2010-01-04 15:18:53 | さ行
あーあ
もう仕事始めだ~。ちえっ

で、今日は超ダウナーになった映画を。


「サベイランス」34点★


デヴィッド・リンチ製作総指揮×娘のジェニファー・リンチ監督
という親子鷹コンビによるサスペンス。


いや~ヒネて育っちゃったのね・・・娘。
もう、とことん不快になりました。


サンタ・フェの田舎町で凶悪な連続殺人事件が発生。

解決に出張ってきたFBIの男女捜査官コンビ
エリザベス(ジュリア・オーモンド)と
サム(ビル・プルマン)は

殺人現場に居合わせた3人の目撃者
事情徴収をすることになる。


だが彼らの証言は微妙に食い違い、
そして明らかになる意外な犯人像とは――?


犯人の意外性は反則技ではなく
まあギリギリの線。

しかし反吐が出そうなエピソードに
神経に障る音、
微妙にタイミングをはずしたセリフ回し・・・など


とにかく人間の不愉快な部分を増幅させ
イライラさせる目的で作ってあるんですわ。



孤立した田舎町で起こる事件、
登場人物は全員どこか挙動不審、

やたらコーヒーが出てくる・・・といったところは
完全に「ツイン・ピークス」を意識してるし

本当にこの親子は似ているのかもしれません。


資料を見ると
ジェニファー・リンチは
22歳のとき「ツイン・ピークス ローラの日記」で作家デビュー。

24歳で「ボクシング・ヘレナ」で監督デビューしたものの
内容の過激さから物議を醸し出し、

その後は交通事故にあったりなど
なかなか波瀾万丈の人生を送り

この作品が14年ぶりのカムバック作なんだそう。


ううむ。

普通、親と同じ道を行くって
もうちょっと照れっつうか逡巡が
あるもんじゃない?

ジェニファーって、そのことをまったく否定もせず

まあ14年の間にいろいろあったのだろうけど
その結果、ここまで親と似たような
不条理で屈折した作品を撮るとは


好きじゃないけど
ある意味、根性入ってると認めざるを得ません。

あるいは職人気質とも言うべきか・・・

親子の血と業について
考えさせる作品ではありました。


★新春、シアターN渋谷で公開。

「サベイランス」公式サイト
コメント (5)
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