ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ローラーガールズ・ダイアリー

2010-02-20 02:09:10 | ら行
いや~今日はさすがに
男子フィギュアに釘付けでしたよ。


で、同じスケートでも
こちらはローラースケート。

で、笑いながらむちゃくちゃ胸熱くなる
いい映画!


「ローラーガールズ・ダイアリー」82点★★★★


テキサスの女子高生ブリス(エレン・ペイジ)は
熱心な母親のいいつけで
今日も美人コンテストに参加している。


清楚なドレスを着て
「私の尊敬する人」なんてスピーチをするのは
まったくガラじゃないけれど
かといって、自分がしたいことも見つからない・・・

そんな悶々とした日々を送る彼女は
あるとき
「ローラーゲーム」の試合を観戦することに。


ローラースケートをはいて
ワイルドにぶつかり合う女性選手たちの
カッコよさに魅了されたプリスは
さっそく親に内緒で
入団試験を受けるが・・・というお話。


いやー
爽快でした、これは。

主人公ブリス演じるエレン・ペイジは
「JUNO/ジュノ」の雰囲気そのまんまの
いい役どころ。


監督兼出演のドリュー・バリモアは
彼女らしいシャウトとガッツの“おんな道”を
ユーモアたっぷりに描き

まさにティーンとアラフォー
世代を超えた「媚びない女子」の代表格のような二人が
タッグを組んだ快作。


はじける元気と笑いとパワーを
たっぷり楽しみました。



ただ「ガールズパワー炸裂」なんていうと
ともすれば男子ドン引きしがち。


しかしそこを万人受けするように
甘辛くまとめているのが
やはりエレン・ペイジの存在感。

スイートと硬派の立ち位置を
まだ決めかねているような
ニュートラルなオーラが素晴らしい。


それにローラーゲームって初めて見たけど
セクシーでハラハラ
こりゃおもしろいですわ。


おすすめ映画です。


しかし番長、最近
10代の主人公の成長を見守るような
ヒューマンドラマが妙にツボにハマる。

年、取ったかねやっぱり。


★5月からTOHOシネマズシャンテほか全国で公開。

「ローラーガールズ・ダイアリー」公式サイト

海外版予告映像はこちらから。
コメント (2)
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ウルフマン

2010-02-19 02:22:59 | あ行
ベニチオ・デル・トロ×アンソニー・ホプキンス
2大オスカー俳優がぶつかり合う


「ウルフマン」41点


1891年のイギリスを舞台に
ある事件からウルフマン=狼男になってしまった
主人公(ベニチオ・デル・トロ)の苦しみと
その謎を解くための戦いを描くストーリー。

とにかく大きな音で「ワッ!」と脅かす
クラシカルなドッキリ要素に

血肉飛び散る凄惨なスプラッタが加わった
ホラーサスペンスです。


主役のデル・トロはセクシーだし
(かなり太ってるけどね・・・

その父親役のアンソニー・ホプキンスも
威厳たっぷりで、ゾクリと怖い。

プラス
エミリー(あご割れ)・ブラントがヒロイン役と

たしかに
俳優は豪華なんですが


悲劇の展開は最初から予想できるし

宿命に苦しむモンスターの哀切も
もうひとつ感情移入するにはいたらない。


狼男の雄叫びや
襲われた人々の断末魔の悲鳴が
大音響で鳴り続けるなか
途中、スウスウ眠ってしまいました。

あちゃー。


そもそもこの企画は
「狼男」(1941年)のポスターをみたプロデューサーが
デル・トロのひげ面を見て
「お前、これやる?」
「やるやる!」みたいなノリで
始まったらしい。

ハハハ、確かにそんな感じかも。


もっとスプラッタ描写を抑えて
父子や男女の心理ドラマに
集中してもよかったんじゃないかな、と
半分目を閉じながら思う番長でした。


★4/23から全国で公開。

「ウルフマン」公式サイト
コメント (4)
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グリーン・ゾーン

2010-02-18 03:30:34 | か行
さすが「ボーン」シリーズのコンビ、
期待通り、やってくれました。

「グリーン・ゾーン」78点★★★


舞台はイラク戦争まっただ中のバグダッド。

兵士ロイ・ミラー(マット・デイモン)は
上層部からの情報にしたがい
「大量破壊兵器」の隠し場所に決死の突入を繰り返すが
いつも空振りばかり。

なにかがおかしい。
・・・そもそも「大量破壊兵器」なんて存在するのか?

と、いち早く疑問を持った彼は
単独で調査を開始。

しかしそのために
味方にも命を狙われることになる・・・というサスペンス。


「ボーン」シリーズ同様、
主人公に密着し、一緒に走り回るカメラワークで
極限のスリリングさと臨場感はバッチリ。


なによりポール・グリーングラス監督は
マット・デイモンを最大限、男っぷりよく
カッコよく描いてくれるから
いいですわあ。


同じイラクを舞台にした
「ハート・ロッカー」のほうが
映画としてのクオリティは上に感じますが
エンタテイメント性でいったら
こちらに軍配があがるかも・・・。


とはいってもこちらも
原作は「ワシントン・ポスト」紙の
ジャーナリストが書いたノンフィクションだそう。


ニュースで知る以外の内幕部分は
リアルな“フィクション”と思って見ていたけど
けっこう本当なんでしょうかね。


いずれにせよ
アメリカ目線でありながら
イラクの立場を冷静に捉え


そもそも
「何が間違いだったのか」を
かなりわかりやすく描いているので
けっこう勉強になりました。


ただ、戦争の現場にいる兵士の実情や
侵攻されたイラク側の心理を
丁寧に地固めした分、

本筋の話が動き出すまでがけっこう長かった。
「何の話が始まるのか?」と
ちょっとジレちゃいました。


ともあれ
「ボーン4」はなにやら難航しているようなので
待ちきれないかたは、ぜひ本作で
空腹を満たしておきましょう!


★5/14から全国で公開。

「グリーン・ゾーン」公式サイト
コメント (4)
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9(ナイン)

2010-02-17 03:03:23 | な行
あのティム・バートンが
この基になった11分の短編アニメを見て驚愕し、

自らプロデュースを買って出て
80分の長編アニメとして世に出した、という

「9」(ナイン)67点★★☆


舞台は人類滅亡後の無人の世界。
そこで目を覚ました奇妙な人形。
背中には「9」と書いてある。

自分は何者なのか、世界はどうなってしまったのか

彼は廃墟の街をさまよううちに
自分と同じように背中に数字をつけた
人形たちに出会う・・・というお話。



まず思ったのが、世界のデザインや色調が
あの90年代の名作ゲーム
「MYST」と「RIVEN」に
そっくりだということ。
(押し入れの奥にあった!なつかし~!



そこに「ストリート・オブ・クロコダイル」や
「ターミネーター」的アクション、
それこそティム・バートン的趣向など

「おっ」と思わせるエッセンスを集めて
世界を構築してる感じです。

監督が38歳と聞いて納得。
なーんだ、まんま同世代ドンピシャじゃないですか。


作品としては決して模倣ではなく
要素をうまくリミックスし
十分オリジナリティーはあるんだけど

どうも打ちのめされるほど新しい!って
わけじゃない。


おそらく最初の11分アニメにあったであろう
ハッとするほどのきらめき
時間をかけ(4年半もかかったのだそう)

人の手が加わるうちに
薄まってしまった可能性はありますね。


でもまだ38歳。
はじめの一歩としては相当に大きいと思います。


監督、近々来日するそうで
ふうん。インタビューしてみたいなあ。


ちなみにオリジナルの11分アニメは
2005年のアカデミー賞
短編アニメーションのノミネート作

すっごく見てみたいのですが
映画会社の人によると
版権の問題などがあって
いまはちょっと見ることができないんだそう。

ちぇ~
そっちも見たいー!


★5/8から全国で公開。

「9」予告編はこちらで。

「9」公式サイト
コメント (5)
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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々

2010-02-16 03:58:15 | は行
「ハリポタ」シリーズ第1作、第2作の
クリス・コロンバス監督の最新作。


「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」69点★★☆


ギリシャ神話に出てくる海の神ポセイドン
人間の母の間に生まれたハーフ=“デミゴット”としての
力と使命に目覚めた
17歳の少年パーシー・ジャクソン
冒険を描くファンタジーです。


この監督らしいダークすぎないさじ加減と

ファンタジー世界を支える
しっかりした“画力”が光る
まずまずの作品です。


3つ頭のヒドラ、地獄の番犬などのクリーチャー、
さらに
パーシー・ジャクソンが入学する訓練校なんかも
どこかハリポタを思い出させますよ。


なにより
ギリシャ神話の神々なんて
これ以上はないってくらい
トンだ題材を
チャチく見せないのはさすが。


同じCG表現でも
デッサンや陰影のつけかたが
しっかりしてると言うのかな。


例えば「ダレン・シャン」と比べると
まず圧倒的に絵がうまい、というか。


やっぱりファンタジーって
脚本や登場キャラの魅力もさることながら
“絵”の要素で
どれだけ入りこめるかが決まりますからね。


あと、あくまで“児童”を意識した
素直さと使命感も番長はいいと思う。


この本はもともと原作者が
ADHDの息子に向けて書いたものだそうで
パーシー・ジャクソンは難読症という設定なんです。

監督はこのヒーロー設定に
心を動かされたそう。


ただ、そこが映画であんまり描かれなかったのが
ちょっと残念でした。

原作は全5巻ということで
当然、続くでしょう、これも。

ちなみに原作は金原瑞人さんの翻訳です。
あ、「コラライン」もそうか。


★2/26から全国で公開。

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」公式サイト
コメント (3)
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