ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブラックハット

2015-05-05 17:39:13 | は行

マイケル・マン監督は
常にハードボイルド。

「ブラックハット」69点★★★☆


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香港の原発が
サイバー攻撃された。

何者かが遠隔操作で
冷却システムを破壊したのだ。

FBIと協力して捜査にあたることになった
中国軍のダーワイ(ワン・リーホン)は
ある人物を捜査に加えるよう要請する。

それは天才ハッカーで現在収監中の
ハサウェイ(クリス・ヘムズワース)だった――。

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「ヒート」「コラテラル」のマイケル・マン監督
5年ぶりの最新作。

今回は
サイバー犯罪がテーマですが
これを映像で描くのは難しい。

どうやってハラハラを演出するか?

冒頭、コンピュータ内で情報処理がされる様子を描くなど
監督けっこう苦心して、可視化している。


クリス・ヘムズワースを起用しただけあって
アクションシーンもたっぷり。

ただ
最初に原発が狙われるので、
テロか政治的なストーリーを想像するんだけど
そういう方向ではなく、拍子抜け。

犯人を追う側の動機も復讐劇になっていくし。


テーマの割には
いまどきふうではないんだけど、

相棒となるアジア美人との情愛も盛り込まれ(「ラスト・コーション」のタン・ウェイ!
ハードボイルドとしては満足いたしました。


★5/8(金)から全国で公開。

「ブラックハット」公式サイト
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赤浜ロックンロール

2015-05-01 23:23:46 | あ行

小西晴子監督は
「イラク チグリスに浮かぶ平和」のプロデューサー。

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「赤浜ロックンロール」70点★★★★


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岩手県の海辺の町、赤浜。

津波で1000人超の犠牲者を出したこの漁師町に
国は5階建てビルに相当する
14.5メートルもの巨大防潮堤を作る復興計画を決める。

その計画に「NO!」と声を上げた
赤浜の人々を追ったドキュメンタリーです。


防潮堤建設は
生態系への心配もあるけれど

自然にそんな形で立ち向かおうとしたって
はっきりいって、無理だと
その場にいる人々はよーくわかっている。

なにより漁師にとって、日常から海や船が見えなくなるなど
もってのほかだと彼らは言う。

で、どうせお金をかけるなら
防潮堤なんかより、高台に町を移して、
まだほとんどが仮設に暮らす町民たちに
住宅を建ててあげればいい。


町民たちの主張はどう考えても、まともな意見。
声をあげた彼らはえらい!
もっともだ!

しかーし。
防潮堤にNO!を言った彼らに何が起こるか。

国は防潮堤の代わりに
11メートルもの高さの道路を作ると言い出すんですよ――!

なんなんですか?
いやがらせですか?

と、見ていると
国は住む人々の意見など、何も聞いてない様子が、よ~っくわかります。


凝った作りなどではないけれど
中心人物となる
ロックンロールな漁師がかっこいいし

震災で家族を失いながら
町のまとめ役となる会長など

くっきりとキャラ立つ人物によって
問題がはっきりと提示されるドキュメンタリーだと思います。


★5/2(土)から新宿K's cinemaで公開。ほか全国順次公開。

「赤浜ロックンロール」公式サイト
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