ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

YARN 人生を彩る糸

2017-12-02 23:13:58 | や行

「糸」という
題材もおもしろいよね。


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「YARN 人生を彩る糸」70点★★★★


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カナダ・モントリオール出身の
女性監督ウナ・ローレンツェンが

糸にまつわる
4人のアーティストを紡いだドキュメンタリー。


糸を編むことは、人生を編むことに似ている。

さらっとしているけど、そんな深読みもできる、
なかなかおもしろい作品でした。


デジタル時代だからこそ
いま
手仕事=“クラフト”がすごく注目されていて
そんな現状の的を射ている。


なかでも
アイスランドのニット・グラフィティ・アーティスト、
ティナがよかった。

ティナは街の街灯や壁を
ゲリラ的にニットで包む活動をしていて
彼女のカラフルで有機的なニットに包まれると
無機質な街が
本当にやわらかく感じてくる。

さらに
通りがかりの街の人が
彼女を手伝ったりしてくれる場面もあって

その様子が、とてもあったかいんです。


そのほか
子どもたちが登って遊べる
巨大なハンモック状のアートを作っている
堀内紀子さんという日本人女性も登場します。

「糸が揺れると、遠くにいる子の存在を感じられて、
知らない子同士でもつながれるんだ」という言葉、
なるほど~と感じました。

堀内さんの作品は
建築家の手塚貴晴さん、由比さん夫妻とコラボして
いまも楽しめるそうです。


★12/2(土)から渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

「YARN 人生を彩る糸」公式サイト
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探偵はBARにいる 3

2017-12-01 23:12:30 | た行

今回、かなりおもしろい。

「探偵はBARにいる 3」70点★★★★


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札幌・ススキノを根城にする探偵(大泉洋)のもとに
相棒・高田(松田龍平)の後輩が
ある依頼を持ち込んできた。

恋人・麗子(前田敦子)が行方不明になったというのだ。

「単に、女に捨てられたんじゃないの?」と
最初は取り合わなかった探偵だが
ヒマつぶしに引き受けることに。

そこで探偵は
「自分も麗子を探している」という
謎の美女・マリ(北川景子)に出会う。

そして、よくある人探しかに思えた案件は
思わぬ方向へと進みだし――?


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大泉洋氏の当たり役、ススキノを舞台にした探偵シリーズ第三弾。

「探偵シリーズ」けっこう好きなんですが
前作から4年。

監督に「あまちゃん」の演出家・吉田照幸氏を迎え、
少しカラーが変わったことが、より良い方向に作用したと思いました。


まず
北川景子氏に前田敦子氏と
女優陣が豪華で華がある。

シリアスと笑いのバランスもよく、
アクションシーンやバイオレンスは少なめ。

なにより探偵の人情味が前面に出て、
ホロリとさせられるところが憎い。

北海道日報の記者、松尾(田口トモロヲ)の出番が多くなり
キャラがより立ってきたのもよかったなー。


ヤバいことに首を突っ込んでは
「ああ!オレってバカバカバカ!」と悶える探偵の
情けなさは相変わらずだし

ひょうひょうとした松田龍平氏との
コンビっぷりも変わらず。

そこに
年月を重ねた分の哀愁もにじみ出て
ハードボイルドにうま味が増した感じでした。


「FILT」で大泉洋さんに
インタビューさせていただきました。
↑記事、こちらから見ることができます。

ぜひ映画と合わせてお楽しみいただければ~


★12/1(金)から全国で公開。

「探偵はBARにいる 3」公式サイト
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