一緒に仕事をしている叔父は 私と違って
まったくの下戸で
グラスに半分のビールで真っ赤になる
そんな訳で
よっぽどのことが無いと飲みに出ない
しかし
一軒だけ接待に使うスナックがある
酒の飲めない叔父が
そのスナックに行って何するの?って思うのだが
存外にスナックの雰囲気が好きなのだそうだ
今朝 私の顔を見るなり
先週末 件のスナックに友人と行った話をしてきた
飲み屋の話を叔父の口から聞くのは珍しい
「やー!びっくりしたよ
8月いっぱいで店をたたむと言うので行ってきたのだが
そこのママがお前の同級生の嫁だった!」
否 未亡人だというのだ
四十前に交通事故死した幼馴染は
二度目の結婚をし 念願の二人の息子を作った直後
真夜中 飲み屋の帰りに道路を徒歩で横断中
車に飛ばされ天国に逝った
彼の葬式に行った折それを聞かされ知っていた
件のスナックの女性は
幼い二人の息子をかかえて
昼は保険の外交員 夜はスナックと
大変苦労したそうだが
子供達が無事学校を卒業し就職したのを期に
しんどい割りに実入りの少ない夜の仕事を辞める
事にしたのだそうだ
それにしても さして飲み屋に行かない叔父が
こんな出会いをするとは
世の中本当に広いようで狭い