本格的な冬の訪れを知らせるように、北の空は厚くてでかい灰色の雲に覆われていた。
今日の北風は弱いが、すでに十分冷たい。冬用のジャケットに防寒のインナーを取り付けた。(下着にはカイロ3枚貼り)
揖斐川を渡ると、薄日が射した。行く手を遮るように立ちはだかる養老の山並みもくっきりと見えるようになった。晩秋に彩られた関が原を越えていく。
関が原バリアのオジさんに「だんだん寒くなるねェ」と声をかけられた。「そうですね」と答えながら、顔は笑っていた。
次の季節へと移っていくこの狭間に、日本の美しさの核が秘められているのを感じる。先に控えた季節のキビしさを知っているからこそ、秋は一層この想いを強くさせる。そして、今、この時を本当に愛惜しく思う。
木之本で高速を降りて、奥琵琶湖へ向かう。今日の相棒は、スロットルが重くて高速の走りがややつらい「あお号」。とっても快調。
上空には青空が出ているが、周囲は日本海から流れ込んだ雲に囲まれている。時折、時雨れてシールドに雨滴を落とす。路面はかなりのウェット。
国道303号線へ折れて、奥琵琶湖パークウェイに向かう。
が、「崩土により全面通行止」のやるせない標示が道を遮る。今日はここを走りたくて来たのだが仕方ない。国道へ引き返してトンネルでひと山越え、大浦へ入る。時雨がやや激しくなった。少し先に行ったところにあるパーキング(赤崎丸子船)に東屋があるのでそこで少し早いが昼メシにすることとした。
ストーブで湯を沸かしている間に、にわかに晴れて、日が差した。湖面がキラキラと反射し、紅葉したカエデが葉を輝かせた。
メシを食うのも忘れて写真を撮っていると、また北から雲に覆われ、雨が降り出した。寒気が連れてきた冷たい雨が琵琶湖の鈍銀色の湖面を激しく叩いた。雨は本降りとなった。
こういう時は降るに任せてのんびりするのが良い。
小一時間もすると、思ったとおり雨は上がって、また青空が広がった。路面はビショビショのウェット。カッパの下だけはいて走り出す。低いところに虹が出た。
海津から追坂峠へまわって、県道287号線(小荒路牧野沢線)でメタセコイアの並木に出た。逆光に梢先の水滴が輝き、ひときわ美しい光景だった。
今津へ抜けて国道303号線若狭街道に入るが、そのすぐ先で南へ折れて国道367号線に入った。
通称「鯖街道」。若狭の海産物を京へ運んだ古い街道。最初、杉林の中を行き、「朽木」へ出ると、安曇川の渓流に沿う明るい谷筋の道になる。雨上がりのビショビショの路面が南からの逆光線に照らされて、まぶしいまぶしい。
周囲の山は杉の植林だが、山頂部には雑木が残り色付きを見せる。麓から中腹までが杉林の「深緑」、上空は雨上がりの「真っ青」な空、その間に黄褐色」に色付く雑木のコントラストが美しい。
花折峠を越えて、九十九折りの坂を下る。そこで街道を逸れ、再び琵琶湖に向かう。そのまま、琵琶湖大橋を渡って、「栗東」から国道1号線へ乗った。
野州川沿いに出ると「近江富士」がよく見えた。
でもこのルート、途中の「水口」辺りまでかなり流れが悪い。亀山まで約50キロ、1時間15分かかった。(普通か?)鈴鹿峠は良く整備されていて楽しい。
亀山から東名阪に乗ると、少し風が出てきた、しかも冷たい風。御在所で休憩したときグローブを冬用のものに変えた。風はさらに強くなり、湾岸道トリトンは80キロに規制されていた。
琵琶湖の北へ行くとかなりの確立で雨にあう。特に寒気の入り込むこの季節は雨が多い。(もっと寒くなると雪だ)。でも、この季節の奥琵琶湖がボクは好きだ。移ろう季節の中に日本的な情緒を感じさせてくれる。特にこの時期の時雨にはそう感じる。
まあ、そのせいで今回あお号はドロドロのズタボロになっちまったけどね。明日、洗ってやるじぇ。
本日(11/30)の走行(R1150RT あお号)
44,941~45,354キロ 413キロ
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