ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

クセもの「ミシュラン ロードクラシック」を手懐けるための一計を案ずる

2024年07月13日 | R100Trad (1990) クロ介


オートバイは基本的には雪や氷の路面はむずかしいので

冬には走りに行く場所が限られてしまっていて

なんとなく「オフシーズン」みたいな感じになるけど

逆に夏は夏で、どこへだって行けるんだけど

日中は暑くてとてもじゃないけど長い距離は遠慮したいね

アタマをすっぽりヘルメットで包み

足には革の分厚いブーツとくれば

狂気の沙汰にも見える

剥き出しのエンジンやマフラーからは容赦なく熱が襲い

水冷オートバイなんてことになると

渋滞で嵌まっている時にかぎって冷却ファンが止まらない

股間をマジで火傷することがある

走っていられれば良いのだけれどね

およそ市街地を炎天下に走ることは避けたい



けれど見方を変えれば

夏の暑い時期に太陽に焙られながら

オートバイで走るのも実はそう悪くない

(でた!アマノジャック!)

走り出した瞬間の涼しさは格別で

「ああ、夏だ」

と実感させてくれるし

夏の暑さは冬の寒さと一緒で

厳しければ厳しいほど楽しい

実際、ヘルメットの中を伝い落ちる汗に思わず笑ってしまうなんてこともある

やれ水分補給だ、やれこまめな休憩だ

ヤイのヤイのうるさい昨今だけど

これくらいの暑さを乗り切れるくらいの体力と健康は持っていたい

良く食べ、良く汗をかき、よく眠る

これは良い生き方、良い人生にもつながる

「異常気象」とか云ってないで健常者なら普通に乗り切れ

ましてやこんな夏にオートバイで走り回りたいならなおさらだ

ライダーは身体が資本

このあいだ北海道へ行ったとき

フェリーで乗り合わせたライダーはご多聞に漏れず

ほぼ中高年だったんだけど

長年乗り続けた彼らの年季の入った相棒といい、その無駄のない立ち回りと云い

みなベテランの雰囲気が好ましかった

そしてやはり一様に大柄でがっしりとした身体つきをしているように見えたが

これこそが長くオートバイに親しむための資質なのだと改めて感じた

ロートルライダーたちがライディングの腕を磨きながら

老いていく身体のケアにも努力しているとはよく聞く話だ

燃料、荷物を含めて250㎏超の車体を

坂や段差にも対処しながら押し引き出来る筋力は必須だし

一日中炎天下や風雨の中を走り切る体力気力もいる



クロ介(BMW R100)

ジェネレーターのコイルが死んで交換した

修理に出す間にタイヤの交換もしてもらった

ミシュランのバイアスタイヤ ロードクラシック

現在のタイヤの選択肢は基本的にはこいつかブリジストンのBT46の2択

ミシュランは今回2回目だ

少し操縦感にクセのあるタイヤで気に入っている



口コミなんかを見るとファーストインプレッションで

切り返しや起すのが重いとか

セルフステアが強いといった

おそらくネガティブな感想が多い

たしかにいつもどおりコーナーに入ろうとすると

身体が反応しないうちにフロントが切れてそのまま切れ込もうとする動きを感じる

またその動きに身体を追従させると今度はそのあとにリアが妙な動きをする

する、というか感覚的に受け入れがたい挙動に感じるみたいだ

けれど、もしそう感じるならフロントの動きを少しだけ弱めて

リアが旋回するリズムにフロントを追随させると

目からウロコの旋回を見せてくれると思う(RSC=リアステアクラブ員なもんですから)

フロントの動きをコントロールする(ステアトルク制御)というと難しく聞こえるけど

これは感覚的にできる動きなので

無意識ではなくそれを意識的にやる気になることが大切だ

(実際は意識するだけで特に何もしなくても、そうなってくれることが多い)

旋回のはなしがしたいけど、ちょっとここで飛行機のはなし


(自衛隊HPから画像拝借)

旋回する飛行機が空中でバンクしているのを見たことがあると思うが

体重移動でバンクしてるわけでなく(当たり前)

エルロンという補助翼を使ってバンク(ロール)させている

ラダー(方向舵)を操作するだけだとヨー方向に機体をよじるけどほとんど曲がらないが

機体を進みたい方向へバンクさせながらラダーを切ると滑らかに旋回していく

パイロットは横滑り計(ボール)をみて(ベテランは感覚的に分かるけど)

バンクと旋回の効率を最適化(バランス)させている(実際にはエレベーターも使う)

すなわち飛行機の旋回はロール、ヨー、ピッチすべてを同時にコントロールすることで成立しているのだ。



バンクするだけ、舵を切るだけ、では旋回しない

そうオートバイと同じだ

オートバイもバンクだけでは旋回できず舵角が必要

さらには遠心力の反力であるグリップ力(内向力)なんてものもある

しかもセルフステアとバンク角がリニアにリンクしているわけではなく

ともすると寝かせれば効率が上がると思いがちだがそれがそうでもない

やはりスピードとバンクと舵角の関係は複雑なのだ

だからバンクさせ遠心力につり合い舵角をつけて旋回する一連の動きは

すべてがほぼ同時に進行していく

どこでバンクを止めどこから旋回を強め、とコマ送りのようには進まない

けれど人間のセンサーは案外正確で

効率の良い旋回は気持ちいいと感じられるような気がする

そしてそれを繰り返すことでこの複雑な力学を無意識に操れるようになる



舵が切れる力(セルフステア)を舵を保持すること(保舵)でコントロールする

その動きはそのままリーンアングルをコントロールすることになる

カウンターステアとか逆操舵とかいう怖ろしい言葉とやっていることは同じだけれど

リーンアングルを作るための体重移動と保舵はみな無意識にやっていることだ

けれど路外逸脱や正面衝突の事故の記事を目にするたびに

ただ何となく曲がれているライダーが多いのかも、とも思ってしまう

前にも書いたけどライディングテクニックの記事の用語はかなり危うい

「加重」なのか「荷重」なのか「反力」なのか

感覚を言葉にする難しさが未消化のまま

プロライダーの肩書でそれらしい造語を使われると

それだけでその意味不明な用語がまかり通ってしまうように見える

「イン側のステップに荷重をかける」

これ、意味わかります?

もっとひどいのだと「イン側のステップを踏む」って書いてある

ステップを踏んずける?

どこを支点にして踏むの?

椅子に座った状態で言葉のとおり試してみればわかるけど

右足で床を踏むと左の尻が硬直する(左足が浮くかも)

この時右足に掛けた力と左の尻にかかった力は釣り合っているはずだ

これでは体重移動にならない

だから「イン側のステップに荷重をかける」では伝わらない人がいるってことだ

まともな人ほど頭の中が「?」でいっぱいになる

(イン側ステップへ荷重するのはないと思うけど、基本ぶらんぶらんでしょ)

「タンクに当たった外側の膝を内へ押し込むように荷重する」

これも一緒だ

そもそもやり方が分からない

片側だけニーグリップを強めるのと何が違うのか?

コーナリング中に外側の膝に力を入れてタンクを押している人がいると思う

膝を内側に閉めると爪先が外にけられるから

そうね、これもプラマイゼロで荷重はのらない

(でも深いバンク角ならここへの荷重は実はかなり強い)

そもそも「荷重」って何?

構造物にかかる力(重さ)のことだ

だから荷重は間違ってない

ただ「加重」はちょっと違うかも



とにかくコーナリングはすべてが同時進行する

同時進行だけど進入と旋回では明確に異なる

ツインリンクもてぎのダウンヒルストレートから90°コーナーを見ていると

フルブレーキングからコーナーに向けて進入する動作から

ある一点で急にバンク角を深めグリっと向きを変えるのがわかる

セルフステアを殺しながらコーナー深く進入し

一気に保舵を緩めて(0ではない)セルフステアを優位にして旋回力を強める

ここがまさに向き変えポイントになる

 

なんかロードクラシックの性格を説明したかっただけなのに

メンドクサイ話になってしまったな

ロードクラシックのやや強いセルフステアを活かすには

コーナー進入での保舵(ステアトルク制御)を少し意識的に強め

いつもより少し奥へ向き変えポイントを設定してはどうか

そうすれば旋回ポイントでそれを一気に解き放った時

持ち味の鋭い旋回力を活かせませんか?という提案だ

スーッと弧を描くようにフロントが意外な速さで回り込んでくる感覚は快感を伴い

リアタイヤと車体の動きにリンクした効率の良い旋回を生んでくれる

これをわかってもらいたいな、と思っただけなんだけどね

とにかくクイックな向き変えばかりを意識していると

ついそのタイミングが早くなりがちだ(インに付くのが早すぎる)と思う

このロードクラシックのセルフステアが強いのは事実なので

それをしっかり活かす組み立てで走れば

BT46なんて味も素っ気もないと感じると思うけどなー



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