ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

深い森の中を行く県道でおっさんは感謝の気持ちで一杯になったのだよ

2024年11月14日 | R100Trad (1990) クロ介


台風崩れの低気圧が通過していくといよいよ秋も深まって、

となんとなく誰もが考えていたはずだが

今年はちょいと様子が違っていて

なかなか寒さも極まっていかないようだ

それでも朝晩はそれなりに冷え込むので

着るモノの選択がむずかしーねー

アメダスの岐阜県の観測点の中では1,2を争う低気温の「六厩」地区

きのう(11/4)の最低気温は1.7℃だったが

最高気温は16.2℃もあった

そして今朝(11/5)

出かける前に調べた最低気温はなんと6.7℃だった

そうなるといらぬ心配も出てくるわけだ

途中で通過する「せせらぎ街道」の紅葉が終わってないかも、なので

平日ではあるが相当な交通量と人手なのかもしれぬ

まあ、それ以外のルートは多分カーナビでは対応しないような道ばかりなので

ノロノロの観光地ドライバーに閉口させられたり

何台も連ねて走るバイクの群れを追い越すのに手間取る苦労も少ないだろう

個人的な趣味なのでどうでも良いが

毎年、紅葉の喧騒が終わって祭りの後のようなせせらぎ街道に走りに行くのが楽しみだ

道路の凍結を気にかけながら冷たい空気の中

今年一年をかみしめて最高のワインディングを走りたいのだ



結局迷いに迷って今回も相当着込んで出かけることにした

暑いなら脱げばいいが

寒くても着るものがないと多分死ぬ

ウルトラライトダウンベストにウルトラライトダウンジャケットを重なる

ついでにネックウォーマーも付け万全

やや雲が多めの早朝出発した

通勤の車列を尻目に高速(道路上)の人となる

ここまでやれば流石にまったく寒くない(よき)



毎年恒例の枯れ果てたせせらぎ街道へ行くついでに

ひるがのの方にある「やまびこロード」へ久しぶりに行ってみようかと

いつものように道路地図を開いていた時に

面白そうなルートを見つけてしまってついでに全部回って来ようという算段だ

いつも使っているのは昭文社のマックスマップル中部道路地図だ

ツーリングマップルは小さい割に余計な(お節介な)情報が多くて見づらい

A5版で14万分の1の縮尺というのはジジイには正直きつい

北海道版の20万分の1はさすがに内容がスカスカであれはいけるのだが

マックスマップルの見開きA3版で縮尺10万分の1はとても良い

グーグルマップも毎日眺めているけど

それ以上にマックスマップルはヒマがあるとよく見てる気がする



地図では大抵、あまりよく考えずに(というか膨大な距離なので)

道路を路線名で色分けしてしまっていることが多い

国道や県道以外はよっぽどのことがない限り表記に差別化はされない

ただし地図の良いところは正にそこにあって

この色がついてない道路を見つけて

そのルート上に長いトンネルがあれば間違いなくそれは快走路

それともうひとつ地方行政がルートに名づけをしてるところも間違いなく快走路

残念ながらマップルでは(多分)その表記にルール化がなされてなく

正直地図上で識別するのはややむずかしい

かつては国土交通省の中部地方整備局が

「道路の走りやすさマップ」というwebサイトを作っていて一つの目安になっていたが

それも現在のグーグルマップの航空写真図やストリートビューにはかなわないね

しかもグーグルマップでは一定の拡大以上で

こういった呼び名の表記もされているのでルート開拓が楽しい

ただし縮尺を上げていくと表示が略されていくあの方式は

PCやカーナビのマップを使いづらく分かりにくくしている原因と思われるし

ビジネスがらみの無駄な情報や

マニアの自己顕示欲でしかない要らない情報が多いのも問題だ

ツーリングマップルと連携しているスマホアプリ(Route)はその点秀逸

紙版に載っている情報はどの拡大縮小率でもすべてが表示され

さらに拡大するとグーグルマップに切り替わる

PC版もぜひ出して欲しい(有料でも価値がある)



話が逸れたが「やまびこロード」のつながりを確認している時に

美濃の山の中を横切るトンネルのつながりを見つけてしまった

飛騨の金山と美並を繋いでいるようなルートだが

マックスマップルでもツーリングマップルでも色付けのない道路

もちろん道路番号はない

ツーリングマップルにはうっすらと「美濃東部農道」とある

でた!農道!

地図を眺めてみると確かに南北にはいくつも県道があるが

東西を結ぶルートは乏しいようだ

すなわち南北は川沿いに谷を進めるが

東西はそれを隔てる峠をいくつも越える必要があるからだろう

飛騨へ行くにはちとルート的なつながりに無理が生じるが

「道」こそが走る理由なので今回は行ってみることにした



東海環状道の内回り

中央道とのジャンクションを越えるとさすがにちょっと寒い

トンネルを抜けるたびに寒さの段階が上がっていく感じだ

予定では東海北陸道へ乗り移ってぎふ大和まで行き

その先やまびこロードで荘川辺りへ抜けるつもりだった

けれど走りながら「高速おもろないなー」と「農道どんなかなー」ばかり考えていたせいか

だいぶ手前の富加関ICで早々に高速を離脱してしまった

というか当初の予定の逆コースになった感じだ

美濃東部農道はせせらぎ街道からの帰りに明宝から和良、金山と抜け

富加関へ抜けるルートとして無理矢理組み込んでいた

まあいい、予定はあくまで予定

穏やかな津保川をたどって県道を北上する



途中、上之保に入って津保川を追って県道63号へ入る

このまま進むと美濃東部農道に合流するはずだ

広域農道へ近づくとこの県道もどんどん道路の規格が上がってきて期待が高まる

美濃東部広域農道は美並から金山、白川を経て恵那へ至る

途中多くの県道や国道に合流しながら全長は80kmにもおよぶ

(正確には78km、農道部はそのうち23km、トンネル6本)



深い山の中に立派な案内標識

ただしその先の取り付き部はかなり唐突(小さな案内はある)な交差点

農道なので勾配はきついが想像どおりのナイスルートだった

尾根筋をトンネルで貫き、谷筋は高い橋でひと跨ぎにして行く

ちょっとミニチュア版の現代の山岳高速道路のようだ

この日は暖かくて凍結の心配が皆無だったのでとても楽しく走れた

金山の町で国道に合流しながら

和良を目指す

途中いくつか道の駅があったけどみんな定休日(火曜日)だった

トイレだけは開けてくれてるからいいんだけどね



和良の道の駅辺りで県道329号線へ入る

ここには何の案内もないが明宝、高山方面へ抜けるには使えるルートなのだ

「こもれびロード」とネーミングもされていて現に看板もある



途中未整備箇所(とはいえもちろん舗装路)は少しあるがおおむね快走路

明宝へつながる辺りの峠もきれいなトンネルが出来て

あっという間にせせらぎ街道に出てしまう



明宝近辺の紅葉はまだ半ばで、予想どおりクルマが多い

中央の黄線が途切れるのを待ってどんどん前へ出るが正直キリがない

なんであんなにゆっくり走るのか

自由だと云えばそうだしその人の都合もあろうかと思うが

後ろに5台も連ねて少しも譲ろうとしないのは逆に無神経じゃない

こっちはどんなに勾配がきつくてもいつでも追い越しがかけられるパワーだから

一気に追い越しを終えられるけどクルマはむずかしいだろうね、譲ってくれないと



いつも立ち寄るチェーン着脱スペースの石碑の横にすべりこむ

ことしは久しぶりに色づいた葉っぱが残るせせらぎ街道だ

途中の気温計も13℃の表示で拍子抜けの暖かさ

まあよい

湯でも沸かして昼にするか



隣を流れるせせらぎの音が絶え間なく

石碑に添えられたカエデが盛んに葉っぱを降らせる

もうすぐ今年も終わりだなー

仕事を辞めて3年がたったなー

今年は北海道へも行ったなー

あ、そうそうSR400買っちまった

などなど

1時間ものんびりしてしまったよ



清見へ下りて、国道を西へとる

道の駅でどぶろくとほう葉味噌をおみやげに買った

高速が繋がってからこの国道(158号線)はずいぶん空いた

でもね間違いなく高速より楽しい

少し遠回りする(トンネルズドーンじゃないもんね)からちょっと時間かかるけど

高速で行くのとほとんど変わらない

高山から富山へ抜けるのもこのまま御母衣、白川郷を抜けていくのは高速と同じルートで

オートバイのツーリングならここで高速は絶対つまらない

ワープするなら高速もいいけどこのルートはツーリングの目的になるようなところだ

砺波平野の西に出るので金沢方面に都合がいい

福光からの国道304号線を使えばそれは峠越えの快走路

なんだか関係ない話になったけど、でもあの峠越えは良かったなー



荘川に出てここから山へ分け入る

県道425号線でやまびこロードへ繋ぐのだ

グーグルマップでは通行止めになっていたけどJARTICのHPは問題なかった

県道の入口にも何の表示もないので大丈夫だろうとそのまま進んだ

民家はすぐに途切れ道は心細く山の中へ

かつての一色国際スキー場のゲレンデを過ぎると

整備もほとんどされていないような路面状況になる

大きな穴ぼこにフロントを落とさないように注意しながら慎重に進む

それと同時に森の深さに心がざわめいていることに気付く

リスが横切りシカが道路上でたむろする

この県道は峠を挟んで前後にキャンプ場があるが

その間はケモノたちの住処みたいだ

まだ当初の目的のひとつだったやまびこロードには届いていないけど

なんだかもうどうでも良くなってしまったよ



ここすごくいい

最近年を喰ったせいか、うれしくなるとなぜか「感謝」の気持ちになってしまう

北海道行ったときに自覚したんだけど

今日もダメだ

深い森の中を危うく繋がるこの県道におっさんはなんだかすごく感謝したのだよ

ほんと、ありがとう


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