自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆コロナショック 経済が重症化する前に

2020年04月04日 | ⇒ニュース走査

     世界の新型コロナウイルスの感染拡大は続く。死亡者数▽イタリア1万4681人▽スペイン1万935人▽アメリカ7152人▽フランス6507人▽イギリス3605人▽中国3326人、となっている(4日付・NHKニュースWeb版)。

   日本集中治療医学会のホームページによると、イタリアでは3月31日の時点で感染者10万5792人に対して死者約1万2428人と死亡率は11.7%と急増している。一方でドイツは、感染者約7万1808人に対して死者は775人で、死亡率は1.1%となる。この違いは、集中治療の体制の違いと指摘している。ICUのベッド数は、ドイツでは人口10万人あたり29-30床であるのに対し、イタリアは12床程度。ドイツではコロナ感染の死亡者のほとんどがICUで亡くなるのに対し、イタリアでは集中治療を受けることなく多くの人々が亡くなっているのが現状だ、と。結果として、ベッド数が足りている分、高齢者の重症化を抑えることに成功し、死亡者が他の国に比べ少ない。

   日本はどうか。クルーズ船感染を除いた死亡率は2.4%(4日現在)だ。重症患者用の病床数は10万人あたり7.3床となる。ドイツやイタリアに比べ少ない。そこで、政府はまず「検問体制」を設けた。発熱があってもそれだけで病院での受付はせず、事前の電話確認を行う。「37.5度以上の熱が4日間以上続いている」「基礎疾患がある」「海外から帰国した」などの特定条件に充当していれば、病院で診察が受けられる。これは憶測だが、入口を狭くする意味合いは、まず罹(かか)らないように十分気をつけてください。本当に罹患したと思われる人のみ受け付けます。「病床数が少ないので、国民のみなさんご理解ください」との国民へのメッセージなのだろう。それだったら最初からそう言えばいい。

   それにしても、国民に「3つの密」(密閉空間、密集場所、密接場面)を避けることが求められ、日本の主力産業である自動車工場の休業が相次ぐ。これが日本の、そして世界の経済に及ぼす影響はいかほどだろうか。想像もつかない。ただ、懸念されるのは自殺の増加だ。バブル経済の崩壊後の不況で山一證券や北海道拓殖銀行などの金融機関の破綻し、翌年の1998年にどん底となる。この年はそれまで2万人台だった自殺者数が一気に3万人台と増加し、その後10年余り高止まりした。

   個人的にショックだったのは、新聞記者時代に赴任した輪島市で取材のお世話になった輪島塗業界の経営者が相次いで3人も資金繰りに困って自殺するという訃報に接したことだった。自死を選んだ理由は保険金だった。経営者は責任感が人一倍強い。その分、融資を絶たれると覚悟を決めてしまう。新型コロナウイルスによる経済の行き詰まりはこれから表面化してくるだろう。中小零細企業に手厚い支援策を望む。「1世帯2枚のマスク」より緊急度の高い対策課題ではないだろうか。(※写真はWHOの公式ホームページ)

⇒4日(土)夜・金沢の天気      あめ

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