自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★パンデミックの世に響く「アメージング・グレース」

2020年04月23日 | ⇒トピック往来

   新型コロナウイルスによる世界の感染者は250万人を突破し、死亡者は17万人を超えた。死亡者のうちアメリカがもっとも多く4万4千人、イタリア2万4千人、スペイン2万1千人、フランス2万人、イギリス1万7千人と続く(ジョンズ・ホプキンス大学CSSEホームページ)。今もアメリカやヨーロッパのパンデミックの中で多くの人々はsocial-distance(社会的距離)を求められ、家で過ごす日々を送る。

   イタリアのテノール歌手、Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)氏が現地今月12日、キリストの復活祭「イースター」に、ミラノのドゥオーモ大聖堂で無観客のソロコンサートを開いた。テーマは「Music For Hope」。その様子がユーチューブで配信され、再生回数は3800万回(22日現在)を超えている。

   コンサートはドゥオーモ大聖堂のオルガンの伴奏で「パニス・アンジェリクス」や「アヴェ・マリア」など4曲を歌った後、大聖堂を背に賛美歌「アメージング・グレース」を熱唱する。黒の蝶ネクタイ、盲目のボチェッリ氏がスタンドマイクの前まで一歩一歩進み歌い始める。じっと聴いていると、目の前に光が差し込んでくるようで感動を覚える。

   「アメージング・グレース」を歌う映像では、人のいない閑散としたパリ、ロンドン、ニューヨークの街も映し出される。世界各地でロックダウン(都市封鎖)が強いられ、身近で亡くなった死者を葬る場に立ち会うこともできない人々の嘆きはいかばかりか。そんな中で、人々はネットでこの歌を聴き、涙しながら心を一つに結んでいるのではないだろうか。そう思えてならない。動画のコメントにはコロナ感染で亡くなした肉親への哀悼の気持ち、そしてボチェッリ氏への感謝の言葉が連綿と連なる。
(※絵はミケランジェロ「アダムの創造」、2006年1月撮影) 

⇒23日(木)未明・金沢の天気    くもり

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