自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★続々々・ 「ポスト・コロナ」を読む

2020年04月21日 | ⇒ニュース走査

   これも新型コロナウイルスの感染拡大による影響だろう。ガソリン価格の値下がりが続いている。きのう(20日)自宅近くのガソリンスタンドで給油すると1㍑あたり123円(会員価格)だった=写真・上=。2月1日は1㍑141円、3月5日は136円だったので、月あたり10円ほど価格が落ちたことになる。ウイルス感染で政府や行政からの不要不急の外出自粛でリモートワークや「巣ごもり」の生活スタイルが広がっている。金沢の街中でも普段の半分もないくらいの交通量だ。もちろん、これは金沢だけの話ではない。

   ロックダウンによる国内外で人々の出入りが規制され、ガソリン需要は世界的に急減している。20日のニューヨークの原油先物市場で史上初めて価格が1バレル当たりマイナス37㌦になったと、メディア各社が大々的に報じている。需要減で在庫が増えて保管スペースがなくなり、買い手がつかないのだ。売り手がお金を支払って原油を引き取ってもらうという、通常では考えられない事態だ。これを受けて、同日のニューヨーク株式市場のダウの終値は先週末に比べて592㌦値下がり。21日の東京株式も午前の終値を310円下げた。

   パンデミックの需要減、出口の見えないガソリン価格

   ガソリン価格の値下がりで記憶に残るのはリーマンショックだ。2008年12月31日夜に撮影した金沢市内のガソリンスタンドの電飾看板は「レギュラー99円(会員価格)」だった=写真・下=。リーマンショック後に安全通貨として円が買われ、1㌦が90円から87円台まで円高に動いた、このときは「円独歩高」という状態で、輸出企業は苦しんだが、ガソリンのような輸入製品は安価になった。その後も、2010年のユーロ危機で円が買われ1㌦83円に、さらに2011年の東日本大震災で日本の保険会社が支払準備として海外資産を円に換えるとの観測が広がり、円高は1㌦76円へと急激に進んだ。こうした円高でガソリン価格が低迷した時期が長く続き、国内のガソリンスタンドの廃業が相次いだ。

   ところが、今回のようにパンデミックで買い手がつかないマイナス取引となると、国際商品市場での異常事態だけに経済危機のレベル感がこれまでとは異なる。サウジアラビアなど産油国による供給過剰も今回のマーケット崩壊の背景にあるだろう。でも、今回のマイナス取引は果たして石油に限った問題なのだろうか。ポスト・コロナの見えない出口がさらに世界経済への不安を煽る。

⇒21日(火)正午すぎ・金沢の天気      はれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする